埼玉県議会議員 山川百合子

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平成20年12月定例会 一般質問

お母さんと赤ちゃんが大事にされる埼玉県づくりに向けて

お母さんと赤ちゃんを大事にする社会気運の醸成に向けて

山川百合子

 「日本では子育てが大変、電車や駅では子供を連れていると周りに迷惑がられていると感じるもの」、アジア・中東・欧米諸国など諸外国での生活もしている友人の言葉です。「マタニティマークをつけて通勤しているけれども、電車の中で気づかってもらったことはないよ」、二人目の子供を身ごもっている別の友人は言います。日本の人たちは優しい心根を持っているはずですが、最近は社会がだんだんぎすぎすしてきました。こんな時代だからこそ、お母さんや赤ちゃんが大切にされている、子供を身ごもることは社会に歓迎されていると感じられるような社会的機運をつくり出していくことが大事なのではないでしょうか。

 そこで、県としてはどのようなことができるでしょうか。マタニティマークの普及啓発、これにさらに踏み込んではいかがでしょうか。マタニティマークは国が進める母子保健分野の国民運動計画である「健やか親子21」で、「おなかに赤ちゃんがいます」と周囲の人に気づいてもらうためのマークです。県議会でも久保田厚子議員や吉田芳朝議員が取り上げていらっしゃいます。国、県では様々な形で配布及び広報をしています。国は数千万円をかけてCMを流しているそうです。

 しかし、このマークとその意味についての認知がまだまだ十分ではなく、さらには具体的な行動を起こすような機運が醸成されているとは言いがたい現状があると思います。大きなコストをかけず普及啓発を行うには公共交通機関など宣伝媒体を持っている企業の協力をいただいて、企業自身の事業として取り組んでいただくことはいかがでしょうか。車体広告は大きなインパクトがあると思います。JRや私鉄、バス会社への働き掛けや埼玉高速鉄道の車体ラッピングや、車内にマタニティシートなどを優先席のような形で設置するような施策の誘導をしてみてはどうかと思います。

 是非、本県が鉄道事業者をはじめとする公共性の高い企業との連携によって更なる啓発活動を行い、社会を動かしていただきたいと思います。知事の御見解をお伺いします。

上田清司知事

 現在は、ともすれば子どもを生み育てることについての負担感が大きいというようなことがよく強調されています。
 だからこそ、「お母さんや赤ちゃんが大切にされている」、「子どもを生み育てることは社会に歓迎される」という、こういうプラスの社会的な気運を作ることは、極めて大事だというふうに思っております。

 マタニティマークは、ピンクのハートの中にお母さんと赤ちゃんの絵がデザインされており、妊娠していることを周囲の人に理解してもらうマークとして意義のあることで、しかも、本県の母子愛育会が作成したマタニティマークが、平成17年度に全国的なマークとして、国に採用されたということでもあり、まさに埼玉県発のものでありますので、この活用というのは、とりわけ埼玉県では、大いに活用していきたいという思いを持っております。
 すでに、首都圏の20の鉄道事業者では、駅構内へのポスターの掲示やマタニティキーホルダーの配布なども行っていただいております。
 さらに、優先席のマークの表示などに取り組んでいただけるように働きかけていきます。

 また、鉄道事業者との政策懇談会も毎年1度開いております。少し長めにみっちりとやっているのですが、そこなどでは、放送をもう少しやっていただいてもよいのではないかというふうに思っています。車内放送を丁寧にやっていただくとか。
 また、大手コンビニエンスストアと包括協定を締結しておりますが、マタニティマーク付きの妊婦・子育て優先駐車スペースの設置などについても、より一層取り組んでいただくように今後お願いをしていきたいというふうに考えております。

 いくつか今後、アイデアを重ねながら、まさに、本格的にこのマタニティマークを県下で、最大限にアピールできるような仕掛けをより進めていきたい。こういう思いを今日、決意として表明させていただきます。

お母さんと赤ちゃんを大事にする社会気運の醸成に向けて

山川百合子

 都立墨東病院の問題から周産期医療がどれだけひっ迫しているかが浮き彫りになりました。医師の都市偏在といわれてきた中で、今や日本の中心都市東京でも妊産婦と子供の命を守る体制がつくられていないことを社会に突きつけたとも言えるでしょう。

 11月に県に提出された埼玉県医療対策協議会の報告書は、埼玉県の周産期医療のニーズが増加している一方で、NICU施設の絶対的な不足、医療従事者の不足や過重負担、救急搬送の情報システムの改善など課題が山積していることを明らかにしました。埼玉県の妊産婦死亡率は全国平均の1.3倍です。そこで、東京都や札幌市の事態を受けて、埼玉県の周産期医療体制の強化に向けた知事の御決意をお伺いいたします。

 続いて、保健医療部長に伺います。
 まず、埼玉県の産期医療現場の医師の現状について伺います。
 墨東病院が救急患者受け入れの要請を受けたときには、当直は研修医が一人しかいなかったということでした。埼玉県内の周産期医療センターにおける医師の配置は通常及び当直、それぞれどのようになっていますか。必要とされる人数に対する充足状況についてお伺いいたします。

 医師を確保するとともに、今勤務する医師の負担を少しでも減らすための医療スタッフの拡充、医師や看護師が出産子育てと仕事の両立ができるための院内保育や短時間労働のなどの環境整備も必要です。今後の取組の強化について伺います。

 県は今年度NICUの増床や新設整備のための補助制度を設けたところですが、絶対的に必要とされる122床に対して83床しかありません。しかも昨年は90床あったわけですから、増床されるどころか減少されています。これらの数字は、NICU施設の整備のための今現在の県の補助制度では不十分であるということを示しており、支援体制の強化が必要です。どのように取り組んでいかれるかお伺いします。

 また、救急患者の場合に医療費の未払いが多く発生していることで、産科病院が救急患者の受け入れを敬遠し、二次、三次医療機関に軽度の患者が回される原因にもなっているということです。そこで、出産育児一時金の医療機関による受取り代理制度を県内全市町村で行うなど、一部の医療費未払いが周産期医療体制全体を圧迫しないための対策が必要と考えます。さらに周産期医療情報システムの改善によって、搬送時間の短縮につながると報告されました。軽微な改善からシステム変更に至るまで早急に取り組んでいただきたいと思います。県の取組についてお伺いをいたします。

上田清司知事

 11月25日に、埼玉県医療対策協議会会長であります埼玉県医師会の吉原会長から周産期医療の厳しい現状を御報告いただくとともに、かなりみっちりと御説明もいただきました。

 その中で、出生数が年々減少ではあるのですが、2,500グラムに満たない新生児の割合が増加しているとか、1,000グラム未満の特に小さい新生児が平成10年の142人から平成18年で195人に増えているというふうなお話も聞いております。
 背景には、出産の高齢化や、妊婦の喫煙や過度のダイエットなど悪い生活習慣を指摘する声や、不妊治療の進展などにより双子や三つ子などの多胎出産の増加などもあるのではないかという御指摘もいただいております。
 本来喜びとなるはずの出産が、東京や札幌のような悲しい事態になったことはたいへん気の毒でもありますし、あってはならないことだと思っております。

 そこでまず、周産期医療体制の強化を図るため、周産期医療の専門施設で働く医療従事者の新たな確保策や、過重な勤務の負担軽減策などを速やかに検討してまいります。
 併せて、周産期母子医療センターを現在の6か所から、来年度中に設置予定の自治医科大学附属さいたま医療センターを含め、平成23年度末までに合計8か所整備を進めていきます。
 また、新生児集中治療室いわゆるNICUについては、現在の83床から来年度までに10床の増設を予定しており、その後もさらに増設に向けて取り組んでいきます。

 今後とも、母体の安全と将来の埼玉県を担う大切な命を守る周産期医療の充実に努めてまいります。

宮山徳司 保健医療部長

 県内6か所の周産期母子医療センターには、本年4月1日現在、常勤の産科医が55名、兼任の小児科医を含む新生児専任医が43名、合計98名の医師が勤務しております。
 このうち、総合周産期母子医療センターの常勤医師は36名で、当直については産科医4名、新生児専任医2名の体制で、24時間365日対応しております。

 また、地域周産期母子医療センターでは、常勤医師が1病院当たり12名となっておりますが、当直には産科医1名、小児科医1名、合計2名の体制がとられております。
 県ではさらに強化を図るため、産科・小児科の後期研修医の県内誘導や医療事務補助者の配置促進に取り組むとともに、女性医師に対する支援策を検討してまいります。

 次に、NICU施設の整備に対する支援の強化についてでございます。
 NICUを効果的に活用するには、入院が長期化しないよう乳幼児の症状や成長に応じた新たな療養・療育環境を提供することが必要でございます。
 また、治療が必要にもかかわらず入院が90日を超えると減額されてしまう現在の診療報酬の見直しも必要でございます。
 県といたしましては、これらを国に対し要望することで整備環境を整え、NICUの増床に向けて病院に働きかけをしてまいりたいと思っております。

 次に、未払い医療費への対応についてでございます。
 本年5月に県が行った産科救急の実態調査では、県内28の分娩を取り扱う救急病院のうち17病院で医療費未払者がおり、1人当たりの平均未払額は19万円でした。
 御提案のありました出産育児一時金の受取代理制度につきましては、現在64の市町村国保で導入しております。
 県といたしましては、今後も市町村に受取代理制度の導入を働きかけてまいりたいと思っております。
 そのほか、産科救急における医療保険未加入者の未払問題につきましても対策を検討してまいります。

 次に、周産期医療情報システムの改善についてでございますが、現在のシステムで取り扱う情報はベッドの空床情報が中心となっております。
 このシステムが周産期医療施設間のさらなる連携と母体搬送の時間短縮に役立つものとなるよう情報項目の追加など改善について関係者と協議してまいります。

地球に優しい自転車の活用と利用環境の整備について

自転車利用の促進によるライフスタイルの転換について

山川百合子

 知事、知事は自転車に乗られますか。街には自転車があふれています。ママチャリという言葉に象徴されるように主婦、小さな子供から高齢者まですべての世代が自転車を利用します。多くの県民の駅までの通勤・通学を支えるのも自転車です。自転車は二酸化炭素を一切排出することがない究極のエコ交通手段です。

 そんな自転車の普及台数は平成20年に県内では約542万台で、自動車の約373万台の1.5倍です。ところがこれだけ身近で県民生活に密着している自転車ですが、自転車利用の環境整備は大変遅れているのが現状です。埼玉県では、平成13年から5カ年の交通需要マネジメント行動計画を策定し、自転車の利活用、複数の取り組みを掲げましたが、具体的な取り組みには至らなかったそうです。東京では、平成18年度に学識経験者、都民、都の部局横断の機関による東京都自転車総合対策検討委員会を立ち上げ、総合プランを策定しています。

 私は、21世紀型のエコで快適で安全な埼玉県づくりには、自転車こそ注目すべき交通手段ではないかと感じています。本年度策定予定の埼玉県地球温暖化対策実行計画でも、是非自転車にも注目していただきたいと思っています。  低炭素社会に向けたライフスタイルの転換に向けて、自転車の活用と利用環境の整備を促進するために、埼玉県でも部局横断的な取組が必要であると思います。知事の御見解をお伺いいたします。

 知事は、現在県のリーダーとして夜は深夜営業の自粛のアピールに熱心に取り組んでいらっしゃいます。昼は自転車利用の促進、いかがでしょうか。

上田清司 知事

 地球温暖化対策が待ったなしとなる中で、二酸化炭素の排出を根本的に削減して、いわゆる低炭素社会を実現していくための一つの方策として、自転車が大変関心を持たれております。
 ちなみに本県の二酸化炭素の4分の1が自動車であるということを考えれば、まさに御指摘のとおりマイカーを自転車に換えるだけで、4分の1、極論ですけれども、二酸化炭素を削減できるということになります。
 このため、この夏の61万人が参加したエコライフDAYにおいても、自動車を使わず自転車や公共機関等を利用するという項目を設け、ライフスタイルの転換も促進させていただいております。
 吉川市や三郷市などでも、自動車から自転車やバス・鉄道などへの利用転換を促すパークアンドライドの取組が行われております。

 また、西武鉄道では秩父方面に、自転車をたたまずにそのまま乗り降りできる臨時電車を運転し、サイクリングによる自転車利用の促進を図ったりするというユニークな例もでてきております。
 こうした様々な取り組みを含めて、県は本年度、地球温暖化対策の実行計画であります「ストップ温暖化・埼玉ナビゲーション2050」を策定しているところでもございます。
 この中で、マイカーから自転車や公共交通機関への利用転換を位置づける予定でもあります。市町村と連携しながら、どこまで自転車の利用を推進できるかということについても、深く意義付けていきたいと思います。

 いくつかまだ課題があります。自転車道の整備をどうするか、自転車の事故対策、駐輪場の整備など解決しなければならない課題もあります。
 こうした課題も含めて、御指摘のライフスタイルの転換に自転車が極めて有効だということを県のナビゲーション2050の中で、しっかりと位置付けていきたい。このように考えております。

安心して走行できる道路環境の整備について

山川百合子

 自転車の利用促進については、道路、駐輪場や交通マナーの普及などハード、ソフト両面における利用環境の整備が必要です。法律上は自転車は車両であり、原則車道を走らなければなりません。しかし、多くの道路では幅員が十分でないことや段差があるなど自転車が安全に走行できる環境にはありません。また、免許制度がなく、運転者は車道を走るのに必要な一定の運転知識と技術を習得していないことがほとんどです。また、県内では、毎年1万件を優に超える自転車がかかわる事故が発生しています。自転車利用の環境整備は命の問題に直結しています。よって、県は従来よりも更に積極的にこれらの環境整備に取り組んでいくことが求められていると私は考えます。

 自転車が道路を走行するためには、また例外的に歩道走行するに当たっても、歩行者及び車両利用者などすべて道路使用者の安全確保のためには、自転車の安全を確保できる道路の整備が必要です。国、市町村などそれぞれの道路管理者にとっても参考となるような道路の整備について、県土整備部長に伺います。

永田喜雄 県土整備部長

 本県は、全国でも有数の自転車保有県であり、自転車が安心して走行できる道路環境づくりは重要であります。
 そのため、県では、3.5メートル以上の幅の広い歩道において、ラインにより自転車と歩行者を分離したり、植樹帯を狭めることにより自転車走行空間を確保しております。

 また、車道の路肩に余裕がある場合には、構造物で分離したり、カラー化することにより、自転車走行空間を明確にするなど、地域の道路事情に応じて工夫した整備を行っております。

 さらに、自転車が安全に走行するためには、自転車の分離を図るとともに、地域の実情を踏まえたネットワークの形成が重要でございます。

 平成20年度からは、国のモデル地区に指定された「熊谷地区」において、国と県、熊谷市とが連携し、各々の道路状況に応じた手法を取り入れながらネットワークの整備を行うこととしております。
 今後とも、国、市町村と連携を図り、自転車が安全に走行できる道路環境の整備に取り組んでまいります。

自転車事故対策について

山川百合子

 平成19年に発生した自転車が関連する事故は13,773件に上ります。さらに自転車が加害者の場合は、警察に届け出ない事故が相当数あるのではないかと考えます。事故軽減のためには道路走行のためには知識と技術の習得及び自転車利用のマナーの向上に向けて、更に積極的取り組んでいくことが重要です。県の取組について警察本部長にお伺いをします。

松本治男 警察本部長

 まず、自転車事故の現状についてでございます。
 自転車乗用中の交通事故死傷者数は、平成17年の約1万6千人をピークに、以後、減少傾向にあり、昨年はピーク時に比べ、約15パーセント減の約1万4千人でありました。しかしながら、自転車乗用中の死傷者数は、平成8年から昨年までの間、12年連続して1万人を超えているほか、本年も10月末現在、既に1万500人を数え、全交通事故死傷者数の約26%を占ております。
 また、自転車側が加害者となって歩行者を負傷させる事故は、ここ6年間で倍増いたしております。
 これら自転車の関連する交通事故は、約9割が自転車側に信号無視、一時不停止、歩行者妨害等の違反が認められるなど、基本的ルールの逸脱が大きな原因となっております。議員ご指摘のとおり、自転車利用者のマナー向上が必要であると考えております。

 次に自転車利用者のマナー向上方策についてでございます。
 自転車利用者に対し、広く交通安全意識の普及を図るための対策は、三つの柱で進めてまいります。

 一つは、交通安全教育の推進であります。
 自転車利用者が安全に道路通行するための技能、知識の習得を図るため、学生、主婦、高齢者など年齢、自転車利用態様等に応じた参加、体験型の交通安全教育を一層推進いたします。

 二つは、改正道路交通法の普及促進であります。
 本年6月施行の改正道路交通法により定められた自転車の歩道通行の要件や児童用ヘルメットの着用等についての普及活動を促進し、周知、浸透を図ります。

 三つは、指導取締りの強化であります。
 無灯火、二人乗りをはじめとする各種違反を看過せず、街頭での指導警告活動を推進します。特に、危険性、悪質性の認められる自転車利用者に対しては、道路交通法を適用し積極的な取締活動を推進いたします。
 以上、関係機関、団体の御協力をいただきながら、県民総ぐるみの自転車交通事故防止対策を推進してまいります。

駐輪場対策について

山川百合子

 駐輪場対策も重要な施策です。自転車法では、市町村だけでなく県にも駐輪場の設置に努めること、駐輪場対策の条例を定めること、民営駐輪場に対して資金集めなどを講ずることなどができるとされています。本県の取組について県民生活部長にお伺いをいたします。

後閑博 県民生活部長

 放置自転車のない安全で快適なまちづくりのためには、駐輪場整備や条例によって大規模店舗等に駐輪場整備を義務づけることは、極めて有効な手段と認識しております。
 このような取り組みは、県・市町村の役割分担から、また事業効果からも地域を熟知している基礎的団体である市町村が主体となって行うことが基本であると考えております。

 なお、埼玉県内でも、民間駐輪場の整備や運営に対して助成を行っているところも、さいたま市など9市ございます。
 駐輪場の整備につきましては、国のまちづくり交付金事業や交通結節点改善事業などの国庫補助事業があり、また、県単独補助事業としては、ふるさと創造資金の地域づくり提案事業がございます。
 さらに、市町村が用地を提供することにより、財団法人自転車駐車場整備センターが建設する手法など多くの制度がございます。

 県といたしましては、市町村が地域の実情に応じてこれらの制度を駆使することによりまして、駐輪場を整備して、よりよい環境のまちづくりができますよう、関係部局と連携し、さらに積極的な支援を行ってまいります。

県から市町村への権限移譲と財源措置について

山川百合子

 県は、国の分権方針の枠組みの中で平成16年に埼玉県権限移譲方針を策定し、昨年までの3か年を一次として市町村への事務移譲を進め、今年度から第二次が行われています。ところが、事務事業の移譲については、既に移譲を受けて事務を行っている市町村側に負担感があり、「交付金措置を見直し、実態に則した額の措置をしてほしい」という声が聞かれるところです。これらの現場の実態感覚が、第二次の移譲についての市町村側の消極的姿勢につながることも考えられます。

 今年2月の定例議会で、私たち民主党・無所属の会の高橋努代表が行った「権限移譲と財源の措置について」の質問に、知事は「県は、国に対して産業や労働分野をはじめとする様々な分野での権限移譲とそれに伴う財源の移譲を求めている。県から市町村への権限移譲を進めるに当たっても、同様にしっかり財源を措置することが大原則だと思う」と述べておられます。

 そこで、企画財政部長にお伺いします。県は、事務事業の移譲に対して措置する分権推進交付金についておおむね3年ごとに見直しをしていますが、その際市町村に対して調査を行っています。その調査の中で、「分権推進交付金の制度の見直しを行うべき」との回答が11の市町村から出されているということです。全体の15.7パーセントですが、県はこの意見をどう見ていらっしゃいますか。また、これらの要望に対して、それぞれの市や町に対してどのように対応をされましたか。

 この回答で「おおむね問題ない」とした市にも実際には負担感がありました。そこで、幾つかの町や市に照会をしました。すると概算で出していただいた数字ではありますが、県が行っている交付金措置ではどこでも足りず、少なくともその約3割以上の超過負担があるという数字が出ています。

 そこで、分権による事務事業の移譲によって、市町村側で実際にかかっているコストの実情を県がしっかりと把握するための実態調査が必要であると考えます。実際に各事務について人件費、物品費、そのほかどのくらいのコストが発生しているのか、各事務現場の課題は何かなどよりきめ細やかな調査が必要と考えます。そして、その調査結果を基に各市町村と県が協議し、双方が適正と考える交付金措置を行っていく必要があると考えます。県の今後の対応について企画財政部長にお伺いをいたします。

塩川修 企画財政部長

 まず、分権推進交付金の見直しに係る調査結果と要望への対応についてでございます。
 県では、平成20年度に実施する交付金の見直しに当たりまして、本年3月に全市町村を対象に、調査を実施いたしました。
 制度の全体的な評価といたしましては、59の市町村から、「適切な交付金措置がなされている」、「全体的に大きな問題はない」との回答をいただいております。
 おおむね適切な制度運営がなされているとの評価をいただいているものと考えております。
 11市町からは、「制度の見直しを行うべき」との回答をいただきました。
 その内容は、職員配置の実態や実際の事務経費に見合った改正をといった意見・要望でございました。
 これらの御意見の中には、県の考えと必ずしも合致しない内容のものもございます。
 今回の見直しに反映できるものは、平成21年度の交付金から反映できるよう、関係課とも協議しながら、具体的な検討を進めているところでございます。
 また、その見直し検討状況について、5月から6月にかけて8会場で、さらに、9月にも2会場で説明会を実施し、交付金の算定基礎となります事務処理件数や客観的な指標などについて、見直しの方向を示す参考資料を添えて説明いたしました。

 次に、よりきめ細やかな調査が必要なのではというお尋ねですが、移譲事務に関する各市町村の事務処理体制はそれぞれ異なっております。
 このため、市町村の個別事情のすべてを考慮することは大変難しい部分もございます。
 しかしながら、市町村に対しまして移譲された事務処理に要する経費については、必要な財源措置を行うというのが制度の趣旨でございます。
 適宜、きめ細かく調査を行い、さらに適切な制度となりますよう、引き続き努力してまいりたいと存じます。

税源移譲時の県民税の還付について

山川百合子

 三位一体改革の一環として、国から地方へ3兆円を税源移譲するための税制改正が平成18年に行われました。19年から所得税は減らし、住民税を増やすというものです。税制改正の際に国民に説明されていたのは、「住民税は上がります、所得税は下がります。個人が払う税の総額は変わりません」、このようなものでした。市県民税の税率に焦点を当ててみると、市民税については改正前の税率の課税所得の3から10パーセントに対して改正後は6パーセント、一方、県民税は改正前は2あるいは3パーセントだったものが4パーセントとなりました。よって、この税制改正によって市町村に比べて県の方が個人住民税の増収割合が高くなっていると考えられます。

 そこで、総務部長にまずお伺いいたします。平成19年度の個人県民税と個人市町村民税それぞれについて、税収は平成18年度に比べどのくらい伸びていますか、金額と伸び率を伺います。

 続いて、昨年の税制改正によって、市県民税は税負担は増加したけれども、所得税の負担軽減の影響を受けなかった人に対して行われた経過措置について伺います。

 所得税はその年の所得に応じて課税されますが、市県民税は前年の所得に応じて課税されます。よって、退職や育児休業など平成19年に所得がなくなった人は、19年に所得税は払いません。一方、市県民税については、18年の所得に対して19年の税率がかけられ納付が求められました。よって、このような方は、昨年市県民税率の増だけが適用となり、結果的には増税となりました。

 国は結果的に増税となってしまった人については、税源移譲時の所得変動に係る経過措置をとることにしました。納付済みの19年度分の市県民税の税額と18年度までの古い税率を適用した場合の納税額との差額を還付しようという措置です。そして、県は県税の徴収事務を行っている市町村に対して県民税分の還付分を徴収取扱費として措置することになっています。県は、11月に県下市町村に対して、この経過措置の対象となる県民のうち申告とした人数とその額を調査されています。

 そこで、まずこの経過措置の対象となり申告してきた人数と、県が市町村に措置する徴収取扱費として示した数字の総額をお伺いいたします。

 続いて、市町村が県に代わって県民に還付する県民税の実際の額と県が徴収取扱費として市町村に措置する額についてお伺いします。

 このことをお伺いするのは、市町村が県に代わって県民に還付する県民税の実額と県が措置する徴収取扱費の間に大きな差が生じていると聞き及んだからです。例えば草加市の場合は、対象者すべてが申告してきた場合に、県民税の還付分の実額として市が積算した額とすべての対象者が申告してきた場合に県が市に支払う徴収取扱費の間には約1,550万円の差が生じるということです。実際の額の積算に比べて徴収取扱費として県から市に払い込まれる額の方が低いのです、小さいのです。

 独自のヒアリングで県内11の市や町について得られている数字でも、同様にそれぞれ差が生じているようです。例えば越谷市は約650万円と聞いています。そのほかの市についてもそれぞれの財政規模に応じた差が生じているということが分かりました。そこで、まずなぜこのような違いが生じるのか総務部長にお伺いをいたします。

 県内市町村で構成される埼玉県市町村税務協議会が10月9日に県に提出した要望では、このように違いが生じていることに対して以下のように要望しています。引用します。「年度間の所得変動に係る徴収取扱費還付金の繰替金の算定方法について、地方税法第47条第1項第2号及び埼玉県税条例第30条第1項第2号において過誤納金に相当する金額とされていることから、案分率ではなく実額ベースによる算定に変更していただきたい」としています。また、草加市議会は、さきの9月定例会最終日に「所得変動に伴う経過措置による個人県民税の還付金額に対する徴収取扱費の額の算定適正化を求める意見書」を全会一致で可決し、上田知事あてに送付をしています。

 知事は、市町村側からのこのような要望をどのように受け取られ、またどのように対応していかれるかお伺いをいたします。

 私は、今回の問題について県と市町村との負担の課題であると同時に、国の問題であるとも思っています。国が分権を推進するめたに3兆円を移譲するといったのだから、その経過で起こる調整のための経費も国がどーんと見るくらいの太っ腹を見せてくれたらよかったのにとも思います。700万県民の、そして70市町村を束ねる上田知事の御見解をお伺いをしたいと思います。

上田清司 知事

 「税源移譲時の県民税の還付について」のお尋ねのうち、市町村側からの要望をどのように受け取り、どのように対応するかでございます。
 お尋ねの個人住民税は、ご案内のとおり市町村が個人市町村民税と個人県民税とを合わせて課税と徴収を行っております。
 このうち19年度は個人県民税の相当額としておおむね4割が県に払い込まれております。
 市町村が納税者に個人住民税を還付した場合には、そのうち個人県民税相当額を徴収取扱費交付金として市町村に交付しております。
 今回の税源移譲に伴い所得税の減税が受けられない人については、個人住民税の還付がなされます。
 この還付のうち、県の負担すべき額は、市町村から県に払い込まれる個人住民税に占める個人県民税の割合と同様におおむね4割とすることが適当であると考えられています。
 この取扱いについて、草加市議会や県内市町村で構成されています埼玉県市町村税務協議会から意見書や要望書が出ておりますので、県の考え方を十分説明をして理解をしていただきたいなというふうに考えているところでございます。

 次に、税源移譲の経過でおこる調整のための経費は国が負担すべきではないかということでありますが、結論から言えば当然だということになります。太っ腹であろうと太っ腹でなかろうと、当然国の責任において行われた業務が国の事務費というのは当たり前のことでありますので、そのようにすべきだというふうに考えております。
 地方は、医療、福祉等の社会保障や教育、警察、消防といった住民生活の本当に最小限度の、ある意味では必須の行政サービスを供給していかねばなりませんので、このため、国の政策によって一方的に県や市町村が減収になるということは、大変困る話であります。
 先般、ありがたいことですけれども、住宅ローンの減税を国が企画していただきましたが、これを住民税からの減税という議論になっていますので、その分をどう補てんするんですかという議論がないままにスローガンとして打ち出されましたので、知事会の方からもこの分はどうなるんですかということを明確に申し上げております。
 いずれにしても、国の税制改正等による地方の税収減については、当然それは国の責任の中で補てんをされていく性格のものだと思っております。

加藤孝夫 総務部長

 まず、「個人県民税と個人市町村民税の平成18年度と平成19年度の比較」についてです。
 平成19年度における個人県民税の所得割と均等割の合計額は、約2,827億円であり、前年度と比較すると約1,309億円、率にして86.3%の増となっております。
 また、平成19年度の県内の個人市町村民税の合計額は、約4,487億円であり、前年度と比べて約702億円、率にして18.6%の増となっております。

 次に、「今回の税源移譲に伴う経過措置に係る徴収取扱費交付金の総額について」です。
 この徴収取扱費交付金は、還付額のうち個人県民税相当額を市町村に交付するもので、現時点では一部の市町村からの還付額の報告が提出されておりませんので全体の正確な額は分かりません。
 本年11月に行った照会の結果から計算いたしますと、約19億8,700万円、対象となる人数は約13万2千人と推計しております。

 次に、「住民税の還付額の県と市町村の負担割合について、なぜ考え方に差が生じているのか」についてです。
 今回の税制改正においては、税源移譲によって税負担が増えることのないよう個人住民税が増える納税者については、所得税の税率が引き下げられ、トータルとして、増減がないように制度がつくられております。
 しかしながら、平成19年に所得がないため所得税の税率の引き下げ効果が受けられず、個人住民税の税負担のみが平成18年度に比較して増えた納税者については、その負担を減らすため個人住民税を還付する措置が設けられました。
 この場合の還付額は、平成19年度の課税額と税源移譲前の平成18年度の税率で計算された額との差となります。
 結果として、平成19年度の課税ではありますが、平成18年度の税率で計算された額が最終的な個人住民税額となります。
 個人住民税は、市町村が一括して課税、徴収を行い、県民税分を県に払い込むこととなっております。
 この還付後の個人住民税の県と市町村の課税割合について、県としては、平成19年度分であることから、おおむね県が4、市町村が6という割合となると考えております。
 これに対して、一部の市議会などからは、平成18年度の税率で計算されたので、おおむね県が3、市町村が7という税源移譲前の課税割合を用いて計算することが妥当だとの意見をいただいているところです。
 今回の還付に係る最終的な課税額の県と市町村の割合の見方が異なるため、還付額の県と市町村の負担割合についても差が生じたものであり、草加市議会や、埼玉県市町村税務協議会から徴収取扱費交付金の増額の要望が出たものと考えております。
 県といたしましては、県の考え方を今後十分説明し、理解を求めてまいりたいと存じます。

【再質問】山川百合子

 知事と総務部長それぞれに再質問をさせていただきます。

 まず、総務部長にいただいた御答弁、なぜ市と県のいっている額に差額が生じているのか御説明を求めたことについての再質問でございます。

 先ほどの総務部長の御説明では、県のほうは19年度の住民税の10パーセント、全体で10パーセント、県民税は4パーセント、市民税は6パーセント、この6、4の割合で県は計算しているというふうな御答弁でした。市がいってきていることについては、18年度のおおむね7、3の割合を適用している。だから、差が生じているというふうな御答弁でございました。

 しかし、先ほど引用した埼玉県市町村税務協議会が出してきている要望、また草加市議会が出してきている要望の内容というのは実額、19年度の税率を適用して既に納付されている額に対して18年度の税率をかけた場合に生じている差額、この差額の実額を返してくれというふうに市町村の方はいっているわけでございます。ですので、7、3の割合でということではなくて、実額を返してくれというふうにいっていると私は、この要望書からあるいは意見書から理解するわけでございますが、総務部長の再答弁をお願いいたします。

 それから、知事におかれましては県の考え方を理解してほしいと、市町村に県の考え方を理解してほしいというふうにおっしゃられました。しかし、私の関係者が独自に調査をしたところすべての市や町についても大きな差額が生じています。そして、北関東の県の中には、今回市町村が言ってきているような実額ベースで返すというふうに聞いているところもあります。国にも問い合わせをしました。国の方は、正式な回答はまだできないというふうに私は聞きました。

 ですので、知事は県の考え方を理解してほしいとおっしゃいましたが、是非この制度を、よく他県の状況、または国の考え方等も聞いていただいて、よく実情を理解していただいて、再検討をお願いいたしたいと思います。御答弁をお願いします。

上田清司 知事

 基本的には細かい話でありますので、総務部からサジェスチョンを受けた範囲内で私は先ほどお答えをしております。
 内容がさらに詰まれば、それなりの判断をさせていただきたいと思いますので、関係市町村と県がしっかり協議して、その上で最終的に判断したいと思います。

加藤孝夫 総務部長

 今の再質問の中で、実額というお話がありましたが、実額で市町村が納税者の方へお返しする還付額については、市町村民税分、個人県民税分の両方含まれております。
 したがいまして、市町村が実額として言っている額として出てくるのは還付額の全体額でございまして、そこの中の割合についてどういうふうに考えるかというのが、先ほど申し上げましたような考え方の差がある、ということでございます。

自殺予防対策について

山川百合子

 アメリカの2倍、イギリスの3倍、交通事故死亡者の5倍以上、これは日本における自殺による死亡の実態です。年間3万人以上、毎日約90人が自殺によって命を失っていることになります。日本で最も自殺死亡率が高いのは秋田県です。自殺死亡率は10年連続で全国で最も高く、事態を深刻に受けとめている秋田県では、平成12年より自殺予防対策に乗り出しています。昨年は、知事が市町村長及び市町村議会議長とのトップセミナーを開いたのをはじめといたしまして、補正予算を含む3,000万円を超える緊急対策を行いました。今年度も約2400万円を組み、様々な自殺予防の取り組みをしています。19年度の自殺者数は、その前年の482人から62人減り、420人です。減少数は全国一です。

 一方、埼玉県の自殺者数は全国第4位で、18年は1,452人、翌19年は1,585人で、133人の増で、増加数でも全国4位となっています。本県も昨年から自殺予防対策に取り組んでいますが、今年度の対策事業の予算額は約300万円です。上田知事就任以来、交通事故対策に力を入れたことによって、交通事故死者の減少数が全国一位となった本県です。本県の交通事故死者の7倍にも上る自殺者、そして死亡者の10倍はいるだろうといわれている未遂者、さらに一人の自殺者・未遂者の周りに5、6人はいるといわれている心に深い傷を負う周辺の方々を救っていくために、本気の取り組みが求められています。

 世界的な金融危機の影響で今後大量の失業者が出るともいわれている中、対策強化は急務と考えます。救えるはずの命を救うために、自殺予防に向けた対策強化について、上田知事の御見解をお伺いいたします。

 続いて、保健医療部長にお伺いいたします。

 今年9月、県と埼玉県自殺対策連絡協議会が埼玉県自殺対策推進ガイドラインを策定いたしました。その中に市町村または圏域ごとに地域自殺対策連絡会を設置し、地域の特性に応じた自殺対策を進めることが望ましいとあります。セーフティネットワークの構築に向けて、県として強力なリーダーシップを発揮していただきたいと考えます。秋田県のようにトップセミナーを開催することは、リーダーに事の重大さを認識していただくのに極めて有効と考えますが、県としては具体的にどのように取り組んでいかれるのかお伺いいたします。

 また、ガイドラインでは相談体制の強化、充実を上げています。自殺者の遺族への聞き取りも行った「自殺実態白書2008」によれば、自殺者のうち62パーセントが相談機関に何らかの形で相談をしていたといいます。これは自殺に至る要因が一つではなく、多岐にわたるということが大きく影響しているということであると思われます。

 うつ病で精神科にかかっていても多重債務の問題は解決できません。自殺は避けられた死ともいわれます。交通事故の7倍にも上る死亡者を救うためには、相談という一歩を踏み出した人に対しては最初の相談先が相談内容以外の小さなサインもとらえて、ほかの要因についても支援がなされるよう複合的なサポートにつなげていっていただく必要があると思います。県としての取り組みについてお伺いをいたします。

 さらに自殺対策においては、自殺に至ってしまったことで深いダメージを受けている御家族の方のサポートも大変重要と考えます。自殺対策基本法でも自殺は個人的な問題ではなく、重要な社会的問題と位置付けています。例えば東京都では「大切な人を突然なくされた方へ」というリーフレットを発行しています。埼玉県としても関係者のケアにも力を入れていくべきと考えますが、今後の取り組みについてお伺いをいたします。

上田清司 知事

 自殺予防にむけた対策強化について、お答えを申し上げます。

 バブルが崩壊以前は約2万くらいだったものが突然3万になってそれ以来、悪い意味で定着をしておりますので、大変つらい思いをしております。今後不況がもし続くようであれば、またこうしたものも増加するのではないかということで、山川議員がご心配されていることに深く敬意を表します。

 先ほど、絶対数で全国4位で、増加数も対前年数で4位といただきましたが、ときどきはきちっと言っておかなくちゃと思っております。10万人当たりの死亡者数では22.6人で全国順位は34位ということですので、全国平均よりは少ない状況であります。しかし、グロスとして1,500人前後の方々が亡くなられる、やっと交通事故が200台になってきた、こういう中でですね、7倍からの数があるということにやはり我々真剣にもっともっと取り組む必要があるというふうに思っております。

 18年度から県庁内に連絡会議を設けて、総合的な取り組みを仕掛けているところでもございますし、例えば「いのちの電話」なんかへの支援、電子メールによる心の相談、遺族の支援とかいくつか行ってきておりますし、市町村においても昨年度初めてすべてのところに自殺対策の窓口を設けていただいたりしております。

 これから、もっと地域の状況に応じた取り組みが必要なのかなと、これはやはり都市部と、また山間部とかでいろんな事情が違いますので、そういういろんな事情も考えながら、対策を講じていかなければいけないと思っておりますので、例えば、県は市町村別に、どのくらい自殺の方がおられるのかとかというそういう図表なども首長の皆様方にお渡ししながら、過去の推移がどうなっているかというようなことで、地域の実情をよくご理解していただくようにしていく、そういうことが取り組みの成果などが改めてそれぞれの市町村で共有できるのではないか、というふうに思っております。うまくいった事例というものをですね、しっかり把握しながら、県と市町村が一体となって、メンタルヘルスや多重債務、いじめ問題などにですね、取り組んでいくべきだと考えております。

宮山徳司 保健医療部長

 まず、セーフティーネットワークの構築に向けた県の取り組みについてでございます。
 自殺対策のネットワークづくりのためには、地域での取ろ組みが何よりも重要でございます。
 このため、県では市町村職員を対象とした研修会などを開催し、情報提供に努めてまいりました。

 また、各医療圏ごとに市町村長と医療関係者等が保健医療全般について話し合う地域保健医療協議会がございますので、その場を活用し、自殺対策の推進を図ってまいります。

 次に、複合的なサポートへの取り組みについてでございます。
 自殺は、様々な要因が複雑に絡んでおり、単一の相談機関での解決は難しいものと考えております。
 しかし、相談を受けた担当者がどこで、どのような専門相談を受けられるか理解していれば、適切な相談窓口の紹介などにより解決の道筋につなげていくことが可能でございます。
 また、時には、領域の違う専門家が一緒に活動するのも有効と考えます。
 9月に実施いたしました自殺対策シンポジウムでは、精神保健相談と多重債務相談を併せて実施いたしました。自殺をテーマに共同で相談業務を行うことで、連携が強化され、お互いの業務を知ることができたと思っております。

 最後に、関係者のケアについてでございます。
 昨年から県精神保健福祉センターにおいて遺族のための相談事業を開始いたしました。やっとの思いで相談に辿りつき、涙ながらにつらい体験を語られる遺族から相談支援の重要性を改めて認識したところでございます。
 また、個別相談と併せて遺族が悩みを分かち合う民間団体への支援も行っております。具体的には、団体への問い合わせや参加申込みの受け付け、職員が定例会に参加しての助言などでございます。
 現在、遺族のケアを目的としたパンフレットを準備しておりますので、これらを通じまして、さらなる遺族支援を行ってまいります。

公益法人制度改革について

山川百合子

 今月1日、新公益法人制度がスタートしました。2002年に政府が公益法人制度の抜本的改革に向けた取り組みについて閣議決定して以来、公益法人、NPO、弁護士などの民間からも様々な議論を巻き起こし、ようやく昨年末骨組みが定められました。新制度の下では、税の優遇措置を受けられる公益法人となるには、公益目的事業が全体の50パーセント以上であること、遊休財産の保有額の制限のほか多くの要件を満たし、国や都道府県に設置される審議会に公益の事業であることを認められなければなりません。税金の無駄遣いや天下りが批判されてきた役所主導型の公益法人が新制度の下では登録だけで設立でき、情報開示の義務がない一般法人を選択する可能性など制度改革の不十分も指摘されているところです。

 そこで、まず総務部長に伺います。本制度改革によって、いわゆる天下り法人や行政委託型公益法人の縮小廃止などの改革につながると思われますか。

 続いて、新制度において公益法人となるための基本となる公益性の認定について伺います。

 市民みずからが公益を決め実現するという理念が根本にあるNPO法とは異なり、新公益法人制度の下では行政庁が公益を認定します。認定に至るまでの審議は、民間有識者からなる審議会にゆだねられていますので審議会がその役割を十分果たしていける体制であることが重要です。

 そこで、伺います。新制度の移行対象となる本県の公益法人の数、公益性をはかる基準は何か、審議会は一つ一つの審議を十分に行える体制になっているか、そして審査内容の情報公開は十分なされるか。

 以上、総務部長にお伺いをします。

加藤孝夫 総務部長

 まず『本制度改革によって、いわゆる「天下り法人」や「行政委託型公益法人」の縮小・廃止などにつながると思うか』についてです。
 今回の新制度では公益認定の基準が法定化され、公益性が民間の有識者で構成される合議制の機関により判断されることとなります。
 したがいまして、行政と公益法人の関係の透明化も進み、公務員制度改革などとあいまって、いわゆる「天下り法人」や「行政委託型公益法人」といった形での批判の対象となる法人は少なくなるものと期待されるところでございます。

 次に、「新制度への移行対象となる本県の公益法人の数について」です。 本年11月末現在で、本県が所管する公益法人は439法人でございます。

 次に、「公益性をはかる基準」についてです。
 公益認定の基準については、「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」におきまして、法人の関係者に特別の利益を与えないこと、公益目的事業の比率が50%以上であることなど18項目が定められております。

 次に、「審議会は、審議を十分に行える体制か」についてです。
 本県におきましては、本年2月に民間の有識者5名からなる埼玉県公益法人認定等審議会を設置いたしました。
 これまで5回の審議会を開催し、公益認定等に関するガイドラインや定款変更案の作成の留意事項を決定するなど、制度開始に備えた十分な準備を行ってまいりました。
 審議会の各委員には、専門知識及び経験を発揮して、民間の視点から公益性の判断をしていただき、公益の増進という改革の目的に沿った答申がいただけるものと考えております。

 次に、「審査内容の情報公開」についてです。これまでに開催した審議会は、すべて公開で審議を行っております。
 しかし、これから行われる個別の審査案件の審議につきましては、率直な意見の交換や意思決定の中立性を確保するなどの点から非公開となっております。
 なお、審議の結果である答申については、速やかに公表してまいります。

多文化共生社会の実現に向けた県の取組について

山川百合子

 グローバル化の進展に伴い、日本で生活する外国人は確実に増加しています。埼玉県でも同様です。県の平成19年末の外国人登録者数は約11万人で、10年前に比べると1.7倍の増加となっています。そのような現状を踏まえ、県では日本人と外国人が共同して地域を支え合う多文化共生社会を目指し、昨年の12月に「埼玉県多文化共生推進プラン」を策定しました。そこでは、国籍や民族などの異なる人々が互いの文化的違いを認め合い、日本人と外国人が共同して地域社会を支える主体としてそれぞれの能力を十分に発揮しながら、ともに生きる、安心・安全で活力ある社会を目指すことを明記しています。すばらしい理念であると私も深く共感しています。

 そこで、その実現に向けた埼玉県の取組について、以下お伺いをいたします。

 県では様々な技能講習を行い、県民の就労に向けた支援を行っていますが、外国人の場合は技能だけでなく言語、コミュニケーションの問題がそれに加わってきます。職業上の技術や技能の習得をサポートするとともに、就業に当たり社会人として身に付けておくべき情報収集やコミュニケーション能力を高めるための日本語講座などのサポートが必要です。県としてどのように対応していかれますか、県民生活部長にお伺いいたします。

 続いて、教育現場の支援も切実です。学校現場では、日本語によるコミュニケーション能力が不十分な子供たちが大変増えてきています。地域や民間活動団体の協力も得ながら学習のサポート、生活支援が必要です。現状と今後の取組について、教育長にお伺いをいたします。

 最後に、国際化する日本の中でダイナミックな県政運営に向けて外国人の県職員登用に幅広い門戸を開くことについて、知事のお考えをお伺いしたいと思います。

 平成11年の議会質問の中で、県は「今後国際化の進展に伴い職員採用における国籍条項の撤廃は、外国人の採用機会の拡大のために重要な問題であると認識し、更に具体的な検討を進めていきたい」と答弁されています。約10年の時を経て、国内の国際化が加速度的に進行しています。多文化共生の埼玉県を築いていくに当たっては、県が国籍にとらわれず、優秀でかつ多様な価値観を備えた人材を起用するチャンスを広げていくことは、県にとっても重要であると考えます。知事の御見解をお伺いいたします。

上田清司 知事

 国の見解として、公務員には「公権力の行使又は公の意思の形成への参画に携わる公務員となるためには日本国籍を必要とする」という基本原則がございます。
 この原則を踏まえながら、医師、看護師などの職種については、採用において国籍条項の撤廃を行ってまいりました。

 また、当時の武田副知事の答弁を受け、平成12年2月には環境科学国際センターに配置されている「環境研究職」について、国籍条項の撤廃を行い、日本国籍を有しない者の採用機会の拡充にも努めてきているところでございます。
 しかし、一般の事務職や技術職などへの職種の拡大については、採用後の配置先や昇任などにも制約が生じ、本人のモチベーションにも影響を生じますので、人事管理上も極めて困難でございます。
 国際社会においては、それぞれの国の国籍を取得することなくその国の公務員にはなることはできません。したがいまして日本も同じようなことだと考えております。

後閑博 県民生活部長

 外国人住民が就労するに当たりましては、社会に適応するために必要な知識やコミュニケーション能力を高めるためのサポートが大変重要であると考えております。
 そのため、社会人として身につけておくべき情報に関しましては、県ホームページ上の「埼玉県暮らしのガイド」で日本の文化や習慣、また、就職の相談先や就職に際しての留意点などを英語、中国語など5つの言語で提供しております。
 さらに、日本の労働法制度を解説した労働ハンドブックを作成し、ホームページで掲載するほか冊子により配布いたしております。

 次に、就労する上で必要となるコミュニケーション能力や日本語の習得につきましては、国際交流協会や市町村、NGOなどが日本語教室を開催しております。
 現在、130団体が146の日本語教室を開いており、その数は、10年前と比べまして2倍に増加しております。
 外国人住民の皆様に対しましては、これらの日本語教室の活用を彩の国だよりや市町村の広報誌などでPRするとともに、今後は教室数の一層の拡大や就労をテーマとした日本語講座の開催についても、実施団体とともに積極的に取り組み、外国人住民の就労しやすい環境づくりに努めてまいります。

島村和男 教育長

 日本語指導が必要な外国人児童生徒への支援を行うため、市町村教育委員会では、小中学校に日本語指導ができる協力者を派遣しております。
 平成19年度は、県内38市町の小中学校で187名が外国人児童生徒の支援に当たりました。
 県の取組といたしましては、日本語指導が必要な児童生徒が多数在籍する学校に教員を特別に配置しており、平成20年度は、小中学校39校に対して、教員41名を配置しております。
 また、教育局には、保護者からの相談に応じる支援アドバイザーや、ポルトガル語及びスペイン語を母国語とする国際交流員を配置しております。
 平成19年度は延べ93校に対する学校訪問を行うとともに、約600件の相談に当たりました。
 県立高校には、7校の全日制課程と9校の定時制課程に非常勤の指導員を配置し、外国人生徒への日本語指導や相談に当たっております。

 また、高校進学の支援として、県や市町村、民間団体が協力して県内4か所で開催する「高校進学ガイダンス」に教育局職員を派遣し、外国人児童生徒や保護者の相談に当たっております。
 日本語指導が必要な外国人児童生徒への支援の問題は、本県だけの課題ではなく、全国的な対応が必要でありますので、「全国都道府県教育長協議会」等を通じて、教員配置の拡充など支援の充実を国に要望しております。
 今後とも、引き続き国への要望を行うとともに、関係部局と連携を図りながら、市町村教育委員会をはじめ地域や民間のボランティアなど様々な立場の方々とともに、学校現場における支援の充実に努めてまいります。

上記質問・答弁は速報版です。
上記質問・答弁は、正式な会議録とは若干異なります。