埼玉県議会議員 山川百合子

文字サイズ 文字サイズ:小 文字サイズ:中 文字サイズ:大

サイトマップ

平成22年6月定例会 一般質問

東京スカイツリーを県東部地域の観光の起爆剤に

山川百合子

テレビ放送のデジタル化に向けて、東京タワーに代わる新しい電波塔として順調に建設工事が進んでいる東京スカイツリーは、東京都を代表する観光資源としても引き続き大きな役割が期待されています。

 新タワーの建設に当たっては、さいたま新都心をはじめ東京都内でも複数の候補地が誘致合戦を繰り広げてまいりましたが、結果的に現在の場所に決定されました。これまでの東京タワーが港区芝に建設され、徳川家の菩提寺である増上寺の近隣であったのに比べ、新しい東京スカイツリーは墨田区押上に建設され、庶民の信仰を集める浅草寺の近隣に位置しています。東京タワーが東京観光の中心的な位置付けであったことを考えると、東京スカイツリーが新たな東京観光の中心になることが予想されます。竣工1年目の経済波及効果は、880億円に及ぶとの試算もあるそうです。

 これまでの東京タワーは、日本橋を起点にすると東海道方面への道すがらのランドマークとなっていましたが、新しい東京スカイツリーは、日本橋を起点にすると日光街道への道すがらのランドマークと既になっています。日本の国土の発展は、いわゆる太平洋ベルト地帯と呼ばれた東海道沿道の工業化を背景に展開していた歴史を振り返りますと、同じように首都東京都に隣接していながら、神奈川県に比べ埼玉や千葉がまだまだ発展の途上にあるような印象があるのも何となく理解できるような気がいたします。

 また、埼玉県全体の均衡ある発展を思うとき、埼玉県を縦断する二つの街道筋である中山道と日光街道では、中山道に沿った地域の発展のほうが日光街道に沿った地域の発展よりも、より進んでいるような印象もあります。

 知事は、日ごろから、埼玉県の強みは首都東京都に隣接する立地条件にあると発言をされておられます。東京を中心とする国民の意識を東海道から中山道や日光街道に引き寄せるために、例えば、今はやりのゆるキャラをそれぞれの街道筋の歴史を踏まえて開発する考え方はいかがか、知事にお伺いいたします。

 東京スカイツリーを東京都の観光資源としてでなく、それを起点として埼玉県を北上し縦断する日光街道や東武伊勢崎線沿線に光を当てて、埼玉県にとって観光資源として積極的かつ戦略的に活用するお考えがいただけないものかお伺いしたいと思います。

 例えば、東京スカイツリーを起点とする「ちょっと足を伸ばそう ぶらり埼玉の旅」といった観光企画を東武鉄道と共同開発して、浅草、業平、押上等で観光パンフレットを配布するなど、東京スカイツリーの経済波及効果を効率的に埼玉県内に取り込むような施策が行えないものかと思います。併せて知事のご見解をお聞かせください。

 また、産業労働部長には、東京スカイツリーの完成に伴う経済波及効果が埼玉県東部に及ぼす影響について、どのようにご認識をされておられるのか、ご答弁をお願いいたします。

上田清司知事

  東京スカイツリーはさいたま新都心との誘致合戦の結果、私どもの方が2位で向こうが1位ということで、現在の場所に決定されたもので、正直大変複雑な気持ちでございます。

 しかし、本県に近い東京の墨田・台東地区に集客力のあるタワーが建設されることは、本県への観光客を拡大させるチャンスではないかというアイディアには正直驚きました。
 テレビのニュースが流れる度に、私もムッときて、頭が大分固くなっておりました。

 確かに日光街道の宿場町として栄えた県東部地域は、近年、東武鉄道と東京メトロとの相互乗り入れも進んで、東京以西からのアクセスも大変便利になっている。
 また、確かにこれから自治体というのは、単独で観光政策を進めていかなきゃならないんですが、ただそれだけではなくて逆に隣接した地域、あるいは他県とも連携して、地域の観光資源をうまく結びつけながら、外国に負けないような観光地をつくって、集客力を向上させていくということは、当然考えなければならないことだというふうに思います。

 東京スカイツリーと本県との魅力ある観光資源を都県境を越えて組み合わせることでお互いの相乗効果を狙えるんではないか、このような考えでございますし、確かにJR高崎線沿線とか秩父・川越と比べると、県東部地域の観光資源でまだまだ十分大きくアピールするものが少なかったということでありますけども、最近では日光街道の松尾芭蕉の足跡が歴史的にみても豊かな資源というふうに言われていますし、また、歴史ブームの中での旧街道の街並みを楽しむ人たちも増えてきている。

 草加市における草加煎餅というのは、煎餅のブランドは日本一、また、周辺には「クレヨンしんちゃん」や「らき☆すた」などのアニメ素材を観光資源として使えるものもありますので、そう言う意味で観光資源として広がりを持つ可能性と言うのが高い。
 それをまた、東京スカイツリーに結びつけという、この大胆な発想は、私も先程も申し上げましたが、目が覚めた思いであります。考えによっては、使えるなと言う風に思っております。
 議員ご提案の街道をモチーフにしたゆるキャラの制作とか、大変面白いアイディアだと思いますので、鉄道事業者などにご提案をさせていただきたいと思います。

 また、県東部地域の観光振興のために、これまでに蓄積した観光資源に加えて新たな魅力を生み出しこれらを活かそうとする、草加市をはじめとした地元の熱意と行動と言うものが、ある意味でやっぱり一番重要になってまいります。
 そうした、地元の意欲と行動、これを私たちも鉄道会社にうまく結び付けて行くのが我々の仕事だと思いますし、また、沿線市町村との連携は、私たちにも必要な仕事だと思っておりますので、今後、今お話がありました企画などをですね、しっかり受け止めながら、そして、今日ご提案いただいたものがどんな形でうまく結び付いて行くか、まだ定かではありませんが、しっかりですね、本当に目からうろこの話でもありますので、受け止めて行きたいと思います。

松岡進 産業労働部長

東京スカイツリーが建設される墨田区では、首都圏および関東近県などから新タワー周辺街区への来場者数を年間約2,090万人と予測し、経済波及効果を約880億円と試算しております。
 この数字は、あくまで首都圏などから新タワー周辺街区に訪れる人数とそれらの来場者が飲食、物販、アミューズメントなどで消費する金額を推計したものでございます。
 従いまして、新タワー完成に伴う埼玉県東部に及ぼす経済波及効果は含まれておりません
 県といたしましては、今後、東武鉄道や沿線市町村などとも連携し、東京スカイツリーと本県東部地域の観光資源とを組み合わせた魅力ある商品開発などに取り組み、本県への観光客の誘致につなげながら経済波及効果の把握にも努めてまいります。

がん対策の強化について

がん検診受診率50%達成に向けた取組について

山川百合子

埼玉県では、平成24年度末までに五つのがんの受診率を50パーセントまで引き上げることを目標としています。

 国が基本計画を策定した年に読売新聞が行った調査で、期間内に目標50パーセントの達成可能と答えたわずか4県の中に埼玉県が入っていたということですから、埼玉県の取り組みへの意気込みがうかがえます。

 しかしながら、平成19年度の国民生活基礎調査によれば、受診率は、大腸がん、27.5パーセント、胃がん、27.6パーセント、肺がん、22パーセントであり、特に乳がんと子宮がんは、47都道府県中それぞれ29位、19.2パーセント、そして38位、19.4パーセントであり、大腸がん以外は、いずれも全国平均を下回っています。

 そこで伺います。受診率50パーセント達成のためには、検診可能な医療機関や早期発見の重要性、検診は恐れる必要がないこと等、検診を促す具体的な情報を記した案内やポスターを作成し、県内すべての医療機関や幼稚園や保育所などへ協力を呼び掛けるなど、より広報の強化を図る必要があると考えます。

 また、託児サービスを設けることも、ママたちの受診率の向上に有効な手だてであるはずです。お母さんたちは、自分の体のためには、容易には病院に行きません。ましてや健康に異常を感じない段階での検診には積極的になれないというのが身近なママさんたちの声です。特に女性の検診率の低い本県ですが、乳がんと子宮がんの検査が一緒の場所で同じ日に受けられる場所がなかなかないのです。

 こういった課題にどう対応するのかを含め、受診率50パーセント達成に向けた今後3年間の取り組みについて、保健医療部長にお伺いをします。

降田宏 保健医療部長

 広報につきましては、これまで検診の重要性や内容等について、分かりやすく訴えるパンフレットやポスターを作成し、普及啓発を行ってまいりました。
 今後は、検診機関やスケジュール等の一覧を掲載した内容を広報紙とは別に全戸配布するなど、効果的な受診の勧奨が行われるよう市町村に働き掛けてまいります。

 また、議員お話の託児サービスや乳がんと子宮がん検診の同時実施については、既に一部の市町村で取り組まれております。
 このほか、土・日検診の開設、近隣自治体間における検診機関の相互利用、特定健診とがん検診の同時実施、検診対象者個人への通知など受診率向上に向けたさまざまな工夫が行われております。
 県としては、議員ご指摘の点も含め、こうした先進的な取り組みを全県に拡めてまいります。
 今後も、受診者の立場に立った取り組みを積極的に展開し、受診率の目標達成に努めてまいります。

粒子線治療について

山川百合子

 粒子線治療は、従来の放射線治療に比べ、がん組織への破壊力が大きく、一方、周囲の正常な組織への影響は、極めて少ないといった優れた特性を持っています。

 私は、国立がんセンター東病院、南東北がん陽子線治療センター、兵庫県立がん粒子線医療センターを視察し、その治療技術への期待と今後この治療法に対して患者側の希望が高まっていく可能性を強く感じ、重粒子線、陽子線のいずれかの県立がんセンターへの導入を前向きに検討していただくべきではないかと考えている一人です。

 この点につきましては、秦議員、田並議員、小野議員などがこれまでも取り上げておられますけれども、県としては臨床効果の検証、治療装置の小型化、保険適用に向けた国の動向などを見ながら検討していくとされています。

 本県にこの先進医療を受けられる場所がない中で、身近にその設備がある地域に比べて本治療についての情報や治療そのものへの県民のアクセスに格差が起こるようなことがあってはならないと思います。治療には約300万円という高額な医療費がかかることから、対象となる患者さんすべてがこの治療法を選択できるわけではありませんが、少なくとも選択肢の一つとして、県内のどの病院にかかっていたとしても医療スタッフから情報を提供してもらえるか否かは、患者の納得、インフォームドコンセントにおいてとても重要であると考えます。

 既にこの治療を行っている他県の医療施設に、県立がんセンターの患者さんおよび県内のほかの医療機関に掛かっている患者さんが、本治療について情報および実際の治療にアクセスできるよう、他医療機関との連携を密にする必要があると考えます。

 県立がんセンターおよび本県の医療機関における取り組みについて、病院事業管理者および保健医療部長にそれぞれお伺いをいたします。

名和肇 病院事業管理者

 粒子線治療は、例えば、前立腺、肝臓、頭頸部ガンなど、一定の固まりとなった固形ガンのうち、他の臓器に転移していないガンに有効とされております。
 一方で、胃や大腸など動きのある消化管や血液のガンなどには治療ができないとされております。
 がんセンターでは、患者さんに治療内容を十分説明し合意を得る中で、粒子線治療についても選択肢の一つとして説明しております。
 患者さんがこの治療を希望される場合は、診療情報提供書、いわゆる紹介状をお渡しし、粒子線治療が可能な医療機関へ紹介をしております。

降田宏 保健医療部長

 議員お話の粒子線治療など、先進的ながん治療を受けられることは、患者さんに納得した医療を受けていただく点からも重要でございます。
 現在、各都道府県の運営する医療機能情報提供システムには、がんに関する高度医療を実施する医療機関の情報が掲載されております。
 また、がん診療連携拠点病院では、がん疾患に関する最新の診療情報を直接、地域の医師へ伝える研修会を実施しております。
 こうした取り組みを通じて、医師の広域的な人的ネットワークを拡大し、県民の先進医療へのアクセス向上に努めてまいります。

緩和ケアの充実について

山川百合子

 上田知事、知事は緩和ケアについてどのような認識をお持ちでいらっしゃいますでしょうか。

 緩和ケアというのは、WHOの定義によれば生命、また、人生を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、痛みやそのほかの身体的問題、心理、社会的問題、そしてスピリチュアルな問題を早期に発見し、的確なアセスメントと処置を行うことによって苦しみを予防したり和らげることで、人生の質、生活の質、いわゆるQOL、クオリティ・オブ・ライフを改善するアプローチであるとされています。

 この考え方から、緩和ケアには、医療スタッフのみならず心理士やソーシャルワーカーほか、多様な分野の方々が携わることのできる総合的なアプローチととらえることができると考えます。

 私の母は、化学療法、放射線療法に併せ針治療を行っていました。約4年半の闘病生活でしたが、毎日をエネルギッシュに地域活動に費やしました。命の尽きる瞬間まで前向きに生きることに向けて時を過ごしました。当時は、「針でがんが治るわけがない」と私は内心とても否定的で、母自身が選ぶ総合的な治療に理解できないでいましたが、医学的なケアにとどまらない緩和ケアという概念を理解するようになった今、当時、母に共感できていなかったことを悔やんでいます。もちろん、針治療だけが母の心身のケアをしたわけではなくて、スピリチュアルな部分、母はクリスチャンでしたが、も影響したのだと思います。

 私は、緩和ケアのプログラムにエステティック療法やアニマルセラピー、音楽療法ほか多様なプログラムを取り入れることが、患者さんのQOLを向上するのに大変有効であると考えています。訓練されたエステの施術者は、施術を行う間にさまざまな生活の苦労話や家族の悩み、愚痴を含めていろんなことを聞いてもらう空間を提供してくれます。鏡に映る疲れた自分の表情は心を暗くさせますが、エステ後の体は血流が良くなり顔色も良くなります。目に光が差すような表情になると心が随分と軽くなるものです。フランスでは、医療エステとして認定制度もあるようです。

 日本でも、国立がんセンター東病院では、ボランティアさんによるいわゆるアニマルセラピーも取り入れられていると聞きました。彦根市立病院緩和ケア病棟では、リフレクソロジーなども行われているようです。

 私の母に針治療を勧められた方は、その後、がんにかかりお亡くなりになりまして、実は本日、この一般質問の直前に葬儀が行われました。2人の治療と生きざまに共通していたのは、最後の最後まで生きること、生に向かって生きたということだと強く感じています。

 今日の緩和ケアは、終末期の医療、死を迎えるに当たってのケアではなく、がんに罹患(りかん)してもがんと共に生きること、より充実して生き抜くこと、生に向かったそういったケア、生きるということを本人と家族にもたらすサポートではないかと思うのです。3人に1人ががんで亡くなる今日、がん患者がその人生を生き生きと生きるために、病院そして地域医療における緩和ケアの重要性が高まると思います。上田知事の緩和ケアについてのご所見をお伺いいたします。

 埼玉県のがん対策推進基本計画には、重点課題の具体的な取り組みとして治療の初期段階からの緩和ケアの実施が掲げられています。しかし、人口10万人当たりの緩和ケア病床数は、全国最下位です。また、緩和ケアチームがある医療機関は、県内11と伺っています。

 県内の医療機関および地域医療における緩和ケアの充実に向けて、県は具体的にどのように取り組んでいかれますか、保健医療部長に伺います。

 最後に、病院事業管理者に伺いますが、県立がんセンターでエステティック療法やアニマルセラピー、音楽療法ほか緩和ケアプログラムの多様化に積極的に取り組んでいただきたいと考えますが、今後の取り組みについてお伺いをいたします。

上田清司知事

 お母様が闘病される姿を間近に見られて、本当に実感のこもったお話を承りました。

 緩和ケアは、かつては末期がんの患者に対する終末期の医療についての考え方でありましたが、現在ではがんになった人が人間らしく心穏やかに生活しながら治療を受けられるようなケアを行うものであるという考え方に変わってきています。

 2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで亡くなっているという現状をみるとがん対策の強化を図る上で緩和ケアは必要不可欠なものでございます。
 病院や他の施設、自宅など、どのような場所でがん治療を続けるにしても、患者さんにとって最も適切な緩和ケアが受けられるようにするのが重要だと思います。

 実は私は、がんセンターの建設に当たって関係の皆さんに申し上げたコンセプトがございます。
 それは、がん患者にとっても家族にとってもできたら日本一やさしい病院になってほしいと。日本一大きいとか日本一金を掛けたとかではなく、日本一患者にとってもその家族にとっても優しいという、ある意味では緩和ケアのこともどこか頭の中にあったのかもしれません。

 その意味するところは、がんに立ち向かう勇気、それによって治る場合もあります。そして、よしんば努力してもかなわないときもあります。
 それでもよかったねと、最後まで家族に見てもらったり、あるいはナース、お医者さんに診てもらって幸せだったねと、そういうものを病室以外にも考えてくれるよう申し上げておりました。
 幸いそういう方向が出てきているのではないかと思っております。
 お話の緩和ケアの方法としてのエステティック、あるいはアロマセラピーとか、カラオケや温泉もあったらいいなと思っております。
 そんなことが付帯設備の中にあれば、患者さんが穏やかに自分らしく人生を全うできるのではないかと思っておりますので、今後、病院事業管理者を中心に、がんセンター建設に当たっては、こうした部分をしっかりと踏まえていただけるように要請をしていきたいと思っております。

降田 宏 保健医療部長

 県内の緩和ケア病床は、昨年の3病院57床から、現在、4病院75床と増えております。
 県といたしましては、緩和ケア病床については特別に増床を認めるなど、整備促進を図ってまいります。

 また、緩和ケアの充実に向けて、がん診療連携拠点病院を中心とし、在宅でのケアへ繋げていく医療連携体制の構築を目指しております。
 このため、県と拠点病院が連携して、地域の人材育成を進めております。
 がん治療に携わる医師に対しましては、緩和ケア研修会を開催し、医師の緩和ケアに関する専門性の向上を図っております。

 また、埼玉県立大学では、緩和ケアの認定看護師を養成しており、現在、県内で40人の方が病院や訪問看護ステーションで活躍されています。
 さらに、県内全ての看護師を対象としたがん専門の研修を平成19年度から行い、これまでに、約4,900人が緩和ケアの知識と技術を習得しております。
 今後とも、地域の人材育成を図るとともに、医療機関同士の連携の強化を進め、緩和ケア体制の充実に積極的に取り組んでまいります。

障害児・者入所施設の整備について

山川百合子

 ノーマライゼーションの理念の下、平14年策定の障害者基本計画で日本の障害者福祉は、脱施設化に向けて抜本的な政策変更を行いました。その後、自立支援法の下で作成された障害福祉計画の基本方針として、施設入所者の1割以上が地域生活に移行することとするとともに、平成23年度末の施設入所者を7パーセント以上削減することを基本とする目標設定がなされました。

 私は、ノーマライゼーションの理念に心から賛同するものであり、その理念の実現に向けた取り組みを推進していくことにこれまでも取り組んでまいりました。地域での生活促進のためにさまざまな施策の充実が求められるところです。

 しかしながら、地域での生活を促進することと入所施設の定員を削減することが同時に語られることには、ある種の違和感を持っています。地域へ移行される入所者がいる一方で、施設入所を希望し待機されている方も数多くいらっしゃいます。多くの待機者がいる中で、入所者が地域に移行したとしても、全体として施設のニーズが減るということには必ずしもならないのではないかと思えるのです。

 また、グループホームなどを整備し、地域社会の中で生活することを基本とするとしても、集団生活や個々人の健康上の問題が発生した場合のセーフティーネットとなるのは、入所施設であり得るのではないかと思うのです。発生した問題を一時的に入所施設で受け入れることによって解決し、再びグループホームに帰って行く。親亡き後にも実家に代わる帰る場所が存在することは、必要不可欠なのではないでしょうか。そのような考え方に立つことこそが自立支援のあるべき姿なのであって、自立支援によって入所対象者を減らし、入所施設を削減するという国の方針にいささか違和感を覚えるのです。

 そもそも当事者である障害者の方々にとって入所施設はどういう意義を持っているのかについて、いま一度確認する必要があるのではないかと考えます。

 そこで伺いますが、国が出している障害者入所施設の削減の意向に県はどう対応されますか。県の施設整備の方針について、福祉部長にお伺いをいたします。

 脱施設化の流れの中で、現場や当事者たちにとって必要な入所施設が、その必要性の実態が正しく認識されないために予算が削減されることがあってはなりません。県は、必要とされる障害者入所施設の実態を把握し、入所施設の意義を明確にしつつ、入所施設の一定数の整備を国に働き掛けていくべきと考えますが、併せて福祉部長にご見解をお伺いいたします。

 続いて、重症心身障害児施設の整備方針について伺います。

 先日、重度の障害のあるお子さんをお持ちの親御さんから不安の声が寄せられました。脱施設の流れの中で、重症心身障害児の施設がなくなってしまうのではないかという不安です。重症心身障害児の施設は、身の回りのサポートとともに医学的な処置が受けられる施設です。24時間のサポートが必要な方たちにとっては、在宅における24時間医療および介護のサポートが可能となる社会にならない限り、なくてはならない施設です。

 しかしながら、実態は平成22年5月1日現在の判明している数字でも51人の待機者がいると言われています。このような状況において、重症心身障害児施設の拡充が求められますが、県の整備方針について福祉部長にお伺いをいたします。

武島 裕 福祉部長

 まず、県の障害者入所施設の整備方針と整備に向けた国への働き掛けについてでございます。

 国は、入所施設定員の1割以上を地域移行させるとともに、入所待機者の中から新たに入所する障害者がいることも勘案して、入所施設定員を7%以上削減する目標といたしました。
 このため、本県は、国の方針に基づき、平成17年度の障害者入所施設定員5,220人の1割の522人を平成23年度末までに地域へ移行させることにいたしました。
 一方、入所施設の定員については、入所待機者数が多いという本県の実情を踏まえて、国の目標である7%より低い4%以上削減する計画といたしました。

 県といたしましては、これまで、知的障害者などの入所施設から地域への移行を進めるための受け皿としてグループホームなどを整備し、入所施設の定員の削減に努めてまいりました。
 この結果、これまでに346人が地域に移行され、平成23年度末までの目標値の66%を達成しております。
 しかしながら、本県の入所待機者は毎年約100人増加し、本年5月現在1,167人となっております。

 入所待機者の中には、強度行動障害や身体と知的の障害を併せ持った重複障害など、地域社会で暮らすことが困難な障害者が数多くおられます。
 また、これらの方々を介護するご家族の負担も大変大きくなっています。国においては、障害者入所施設の新たな整備は原則認めないという方針であります。しかし、一律に削減ありきではなく、各都道府県の実情を踏まえて整備すべきものであると考えます。
 このため、今後、地域社会では生活できない、真に施設入所を必要とする障害者やそのご家族のニーズに対応できますよう、障害者入所施設の整備方針の見直しを国に対し強く要望してまいります。

 次に、重症心身障害児施設の整備方針についてでございます。
 重症心身障害児を在宅で介護するご家族にとりましては、一時も気の休まることなく、身体的、精神的な負担が大変大きいと伺っております。
 このため、重症心身障害児が県内6カ所の施設に通園して、寝返りや歩行などの療育訓練を受けるための事業を行うなど、在宅介護の支援を推進しております。
 しかし、在宅での介護には限界がございます。
 県内には現在、重症心身障害児施設は5カ所、582名の定員であります。
 施設への入所を希望する方々は、本年5月1日現在51人おり、すぐには入所できない状況になっております。

 また、新生児集中治療室いわゆるNICUに入院している重症心身障害児は24人おられます。
 重症心身障害児施設は、この子どもたちがNICUから退院した後、受け入れられる施設として、重要な役割を担っていると考えております。
 このような状況を踏まえ、今後、施設整備の必要性を十分検討しながら、重症心身障害児の施設の整備に向けて努力してまいります。

生活保護受給者の自立支援について

無料低額宿泊所入所者に対する支援について

山川百合子

 景気回復が遅々として進まない現実の中で、日本の終身雇用制度が崩壊しつつあり、ニートに代表される若者の職業意識の変化、正規雇用、臨時雇用、派遣労働といった雇用環境の多様化を背景に、一度リストラをされれば再就職はかなり困難な現実が深刻な問題となってきています。

 このような事情の中で、本来は一日も早い社会復帰を目指して、一時的に生活を経済的に支える支援としての生活保護が、場合によっては労働対価として支払われる月収よりも有利であるといった実態が少なからず生じつつあり、生活保護が生活保護受給者にとって最低限ではあるけれども、ある意味ですが安定した生活を保障する制度として固定化しつつある状況が散見されるようになってきていると感じています。

 そこで、まず初めに、無料低額宿泊所入所者に対する支援についてお伺いをいたします。

 貧困ビジネスという言葉がメディアでも、また、国会でも使われる用語となっています。もともとは湯浅誠氏による造語ということですが、経済的貧困層を中心とする社会的弱者に的を絞り、その社会問題構造の固定化により利益を上げるビジネスモデルもしくは企業活動の主体を指し、つまり貧困層をターゲットにしていて、かつ貧困からの脱却に資することなく、貧困を固定化するビジネスのことと整理できるようです。

 近年、急激に増えている無料低額宿泊施設は、社会福祉法で第2種社会福祉事業と規定されているにもかかわらず、貧困からの脱却に資することなく貧困を固定化することにつながりかねない危険性をはらんでいます。もちろん、熱心に困難な状況にある人々の生存権を守り、自立を促進する助けをしている事業があることは私も存じております。

 その一方で、使い方によっては貧困ビジネスとして利用するすき間産業となりかねません。利用者の多くが生活保護受給者ということがあり、そして近年、この施設が急激に東京、埼玉、千葉で増えているという実態を考えると、県としては、早急に何らかの対策を講じる必要があると考えます。

 国では、議員立法で設備や運営に関する規制に法的根拠を与えようとする動きがありますが、現行の制度の中で重要な課題は、利用者の自立支援がどの程度行われているかということであると思われます。

 無料低額宿泊施設は、あくまで突然住む場所を失った方が自立した生活に移行するまでの仮の住まい、宿泊所であり、固定的に住み続ける住居ではないはずです。県内にある無料低額宿泊施設の入居者の利用年数は、平均しても約2年になるということで、設置そのものが近年に集中していることを考えれば、この施設が住居になっているケースが相当数に上るのではないかと思われます。

 そこで伺いますが、無料低額宿泊施設の入居者に対する自立支援がそれぞれの施設でこれまでにどのように行われ、県としてはどのような指導をしてきたか、県内の施設で自立支援に取り組んでいないところはどこであるのか、なぜ入所者が固定化しているのか等について、何らかの情報提供がなされることを待つのではなくて、県として積極的な実態把握が大変重要であると考えます。その上で、施設に入所者を固定化させないような施設への指導および入所者への支援策が必要と考えます。県としてはどのように取り組んでいかれるか、福祉部長にお伺いをいたします。

武島裕 福祉部長

 現在、県内の無料低額宿泊所は37カ所あり、約2千人の生活保護受給者が入所しております。
 これまで、この入所者に対して福祉事務所のケースワーカーや就労支援員が、就労やアパートなどの住居の確保に向けた支援を行ってまいりました。
 その結果、昨年度は、262人の入所者が就職し、自立してアパートなどに転居することができました。

 しかし、福祉事務所のケースワーカーが、急増する新規の保護申請の対応に追われ、無料低額宿泊所の入所者に対する自立への支援が行き届かないという現状がございます。
 そこで、今回の補正予算で計上させていただいた「生活保護受給者チャレンジ支援事業」により、無料低額宿泊所からアパートや養護老人ホームなどへの転居を進める支援員を配置し、入所者の自立を強力に進めてまいります。

住宅確保対策について

山川百合子

 そもそも生活保護受給者が、また、生活保護を受給するための申請に当たって、住居の確保が大変困難であることが、無料低額宿泊施設の利用者の急激な増加の背景にあります。

 平成18年より、生活保護の住居費がアパートの大家さんに直接支払われることが可能となりました。この方式によれば、大家さんは生活保護受給者からの家賃回収のリスクから解放され、生活保護受給者は住まいを確保することが楽になるはずです。

 そこで、福祉事務所や市の窓口で入居場所の情報提供を利用者、家主の両方に行っていくことも重要と考えます。生活保護受給者の現状は、どのように変化してきているのか、実態を含めてご説明をいただいた上で、生活保護受給者の住宅確保のための支援策の強化について福祉部長に伺います。

武島 裕 福祉部長

 まず、生活保護世帯の現状でございます。
 リーマンショック時の平成20年9月の保護世帯数は39,491世帯でしたが、平成22年5月には52,040世帯となり、12,549世帯、約32%の増加となっております。

 世帯類型別にみますと、最も多く増加しているのは、若く働く能力がある世帯で、4,718世帯から9,874世帯へと約2倍となっております。
 次いで、高齢者世帯が16,381世帯から20,652世帯へと26%増加しております。

 次に、住宅確保のための支援策の強化でございます。
 お話のありました福祉事務所から家主に家賃を直接支払う代理納付の活用については、制度開始後4年が経過しており制度も浸透したことから、利用世帯が年々増加し、現在、3,257世帯となっております。
 引き続き、福祉事務所に対して代理納付を周知するよう指導し、保護世帯の住宅確保に努めてまいります。

今後の取組について

山川百合子

 貧困を固定化させないために、生活保護受給者の就労支援を含む自立支援全般にどのように取り組んでいかれるのか、福祉部長に伺います。

武島 裕 福祉部長

 生活保護は、単に保護費を支給し、最低限の生活を保障するだけではなく、一人一人の可能性を引き出し、自立を支援することが本来の目的でございます。
 そこで、今回の補正予算で計上させていただいた「生活保護受給者チャレンジ支援事業」により、職業訓練を受講させ自立を促進するとともに、学習の機会の提供により貧困の連鎖を断ち切る事業を実施したいと考えております。
 具体的には、職業訓練支援員が、受給者の年齢や職歴などに応じて、危険物取扱者やボイラー技士などの資格が取得できる職業訓練を受講させ、就職まで結び付けてまいります。

 また、保護家庭児童の全日制高校への進学率が67.8%と、一般家庭の92.5%と比べて約25ポイントも低く、再び保護を受ける確率も高いというデータもあります。
 このため、教育支援員が、保護家庭の中学生とその親に対して高校進学の重要性を理解させ、学生ボランティアによる学習教室でマンツーマンの指導を行い、高校進学率の向上を図ってまいります。
 これまでの生活保護は、「入りやすく出にくい」状況でございました。
 今後は、「入りやすく出やすい」ものとなるよう、就労支援や住まいの確保、さらに教育支援を集中的に実施することにより、一人でも多くの生活保護受給者が自立するよう全力で取り組んでまいります。

児童虐待防止対策について

「児童虐待の防止等に関する法律」施行後10年間の取組と成果について

山川百合子

 今年は、「児童虐待の防止等に関する法律」が制定されて10年です。平成20年度の全国の児童相談所における児童虐待に関する相談対応件数は、42,662件。法施行前の平成11年度の約3.5倍であり、年々増加の一途をたどっています。

 さまざまなメディアで毎日のように虐待のニュースを目にします。親によって子供の命が奪われるなど考えも及ばないような重大な児童虐待事件が後を絶ちません。物言えず、生存のために虐待に耐えている子どもを一人でも放置しない社会にしていかなければならないことは、現代社会における緊急課題だと言っていい状況です。

 そこで、まず、法施行後10年間の埼玉県の取り組みと成果について、福祉部長に伺います。

武島 裕 福祉部長

 

この法律の制定により、児童虐待に対する認識が高まり、児童相談所に寄せられた児童虐待相談件数は、この10年間で約2.2倍と大幅に増加しました。
 この間、児童相談所の職員数につきましては、6カ所の児童相談所で170人でしたが、平成22年度では、草加支所を設置して、7カ所で277人となりました。
 これは、児童福祉司や児童心理司など専門職107名を増員し、組織体制の強化を図ったものでございます。
 このような体制で、子どもを虐待から守るため、虐待通報から安全確認までを2日以内に行うという全国に先駆けた「48時間ルール」を実践しております。

 また、平成18年度には、休日夜間児童虐待通報ダイヤルを開設し、24時間365日いつでも虐待の通報を受け、「48時間ルール」により、迅速に対応しております。
 また、すべての市町村に、虐待の早期発見・早期対応をするための「要保護児童対策地域協議会」を設置し、関係機関が連携して、子どもを虐待から守っています。
 さらに、今年度末には、現在、さいたま市にある南児童相談所を川口市内に移転するとともに、定員30人の一時保護所も開設することとしております。

 こうした取り組みにより、児童虐待防止には全力を尽くしておりますが、防ぎきれない事件もあり、対応に大変苦慮しているところでございます。

越谷児童相談所草加支所開所による反響について

山川百合子

 児童相談所への児童虐待相談件数は年々増加し、埼玉県内では特に越谷児童相談所の取り扱い件数が高く、平成21年度は412件でした。

 この現状を受けて、本年4月、越谷児童相談所の支所が草加に開所されました。草加市民としては、近隣に施設ができたことで距離的にも利用しやすくなっただけでなく、心理的にも身近な存在になっていくと思われます。

 そこで、越谷児童相談所草加支所の開所による反響について、福祉部長に伺います。

武島 裕 福祉部長

 市や小・中学校などの教育機関、相談者の方々からは、「担当ケースワーカーが早く訪問してくれるので、助かる」、「児童相談所が身近な存在となり、相談がしやすくなった」などの声が寄せられております。
 今年4月から6月までの虐待相談件数も、昨年42件だったものが65件となり、草加支所開設により相談が増え、虐待の早期発見につながったものと考えます。

家族の再統合に向けた取組について

山川百合子

 虐待対策の主たる保護対象は虐待を受ける児童ですが、虐待を受けた子どもたちが再び家族のもとに帰り、家族への信頼を回復し、再出発するためには、子どもを虐待する親や家族のケアも重要です。

 家族の再統合に向けた一連の支援プログラムはどのようなものなのか、家族の再統合に向けた県の取り組みについて伺います。

武島 裕 福祉部長

 児童養護施設に入所している子どもの約60%は、被虐待児童です。
 こうした子どもにとって、親子関係を修復し、再び家族とともに生活を送ることができるようになることは大変重要です。

 このため、本県では、家族再統合のための支援策として、平成20年3月に本県独自の「家族支援プログラム」を策定いたしました。
 これは、児童相談所が、面会から家庭引き取りまでの計画を、親子とともに作成し、段階を踏んで、着実に家庭復帰できるよう支援していくものです。
 昨年度は220組の家族に対し支援し、その結果102人の子どもが家庭復帰に結び付いております。

 このように、家族支援プログラムは大変有効ですので、この事業を推進し、ひとりでも多くの子どもたちが家庭復帰できるよう全力で取り組んでまいります。

課題と将来ビジョンについて

山川百合子

 虐待問題に係る今日の課題と取り組みの将来ビジョンについて、福祉部長に伺います。

武島 裕 福祉部長

 児童虐待の急増により、緊急かつ高度な専門性がますます求められる中で、すべて児童相談所のみで受け止めることは限界があります。
 児童相談所の役割として、本来、より重度な虐待ケースへの対応が求められます。

 そこで、児童相談所は、重度で困難な虐待ケースに対応できるよう専門性を高め、職権による保護を適切に行い、危険なケースはホワイトボードによる進行管理などにより、子どもの安全確保の徹底を図ってまいります。
 しかし、今後は、児童相談所への相談に至る前に、虐待の芽を早期に摘み、虐待を深刻化させないことが何よりも重要であると考えております。
 このため、住民に身近な市町村が中心となり家族を支える仕組みを構築していくことが何より大切です。

 県といたしましては、市町村への支援として、県職員の派遣や市町村職員の受け入れ、専門資格取得のための講習会の開催などにより、市町村が担う児童相談機能を高め、児童虐待防止の充実に最大限の努力をしてまいります。

暴力団排除対策の推進状況について

山川百合子

 大相撲名古屋場所の開催さえ脅かす事態となった相撲界における野球賭博問題に関する報道が繰り返される中で、この問題の背後にある反社会的勢力、暴力団が関係していることが国民の知るところとなりました。

 平成4年3月1日に施行された暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律、いわゆる暴力団対策法によって、暴力団員や暴力団事務所の数が減少し、暴力団による伝統的資金獲得活動も困難になってきたと言われておりますが、暴力団が今も現実に活動を続けていることを今回の報道は、私たちに思い知らせました。

 また、私個人としても、草加市内で白昼3発の銃声が鳴り響く事件が発生したことを思い出しました。特にけが人は出なかったと記憶しておりますが、暴力団事務所への発砲事件であり、明らかに暴力団同士の抗争事件だったのだと思います。

 そもそも暴力団の排除に向けた活動は、警察力だけで成り立つものではありません。暴力団追放三ない運動である「暴力団を恐れない」、「暴力団に金を出さない」、「暴力団を利用しない」を基本に、行政機関、県民および事業者の方々から県警察や暴追センター等専門機関と連携しながら幅広く取り組んでいくべきものと理解しております。今回の野球賭博事件に限らず、あらゆる機会をとらえて暴力団の排除に向けた機運を高めていくことは、暴力団排除活動に真剣に取り組んでいる県民の方々、あるいはこれから取り組もうとしている県民の方々にとって大変心強いことであろうと思います。

 福岡県では、暴力団が県民の生活や社会経済活動に介入し、県民に大きな脅威を与えている現状を踏まえ、福岡県暴力団排除条例が制定され、「みかじめ料」をめぐる事件で先月27日に同条例が初めて適用されて、条例に基づいて勧告が行われました。

 一見、勧告と聞くと実効性に乏しいとの印象もあるかもしれませんけれども、勧告を無視すれば公安委員会による公表となり、これまで水面下で一般県民には見えなかった事業者の暴力団との関係の有無が白日の下にさらされることになることは、県民の暴力団排除への意識改革に大変有効です。

 このように暴力団対策法施行から18年間が経過し、福岡県暴力団排除条例の制定によって都道府県ごとの暴力団排除に対する具体的な条例化の機運が全国的に急速に広がってきております。ちなみに、福岡県の条例に合わせて福岡市でも同様の条例が制定され、この機運が市町村にまで浸透していることは特筆すべきことだと思います。

 そこで、埼玉県の暴力団情勢と暴力団排除活動の取り組み状況、また、条例の制定に向けたその後の検討状況について、警察本部長にお伺いいたします。

 暴力団が介在する野球賭博事件のせいで、大相撲名古屋場所がテレビで見られなくなり、日本の国技が存亡の危機とまでささやかれる今こそ、ピンチをチャンスととらえて暴力団排除に県民の意識が向けられる好機ととらえ、埼玉県として暴力団排除条例制定を含む暴力団排除対策の一層の推進を期待し、警察本部長の力強いご答弁をお願いいたします。

松本治男 警察本部長

 県内の暴力団情勢でありますが、全国的に暴力団勢力が減少傾向にある中で、本県は、平成17年以降、若干、増加傾向にあり、現在、約2,800人の暴力団勢力を把握しております。

 県内の特徴は、山口組の進出が顕著であり、國粹会を吸収するなどして、10年前に比較して10倍強と増加しており、一昨年には、住吉会と山口組との対立抗争が発生しまして、これまでに双方の関係被疑者を40人以上検挙し、捜査を進めているところであります。

 また、暴力団による資金獲得活動は、覚せい剤の密売やノミ行為等の伝統的資金源のほか、近年は、公共事業等への介入やイベントの開催による資金調達など多様化させております。
 こうした情勢をふまえて、警察は取り締りを強化しているほか、 関係機関・団体と連携し、公共部門では、生活保護や公営住宅か ら暴力団を排除する取り組みを推進しているほか、民間部門では、証券業務や銀行取引からの暴力団排除活動を推進しているところであります。

 また、議員ご指摘のとおり、相撲界と暴力団との関係が大きくマスコミで報道されております。
 本県におきましては、埼玉県を本拠地とするプロ野球球団やプロサッカーチーム等に対して、警察と球団等が連携して暴力団排除組織を結成したり、暴力団関係者を試合観戦から排除するなど、プロスポーツ界への暴力団の介入阻止に向けた対策を進めているところであります。
 しかしながら、暴力団排除に熱心に取り組む事業者がある一方で、一部には事業者が暴力団を利用する、あるいは事業者自らが暴力団に対して資金提供をするなどの実態もみられるところであります。

 そこで、県警といたしましては、暴力団対策として、暴力団の取り締まりや暴力団排除活動を行っておりますが、これに加え今後、資金源対策等暴力団排除対策をより強力に推進していくためには、民間事業者の方々に、暴力団の威力を利用したり、暴力団に利益を与えたりすることを禁止し、これに反した場合は、勧告・公表を行うことができることとする等を内容とした暴力団排除のための基本条例を制定する必要があります。
 今後、県知事部局等と協議を行い、さらには県民、事業者等の皆様のご意見を伺いながら、実効のある条例の早期制定を目指し、作業を進めてまいります。

上記質問・答弁は速報版です。
上記質問・答弁は、正式な会議録とは若干異なります。