埼玉県議会議員 山川百合子

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平成24年12月定例会 一般質問

上田知事の地方主権に対する所見について

山川百合子

 日本は官僚国家だとよく言われますが、日本国に国家官僚である国家公務員は約30万人、すなわちいわゆる霞が関で働く国家公務員は約8万人だそうです。つまり約22万人の国家公務員は、私たちの身近な地方勤務の国家公務員なのだそうです。それでは、埼玉県庁の職員を含む全国の都道府県や市町村で働く地方公務員は何人おられるか。統計によって誤差はあるかもしれませんが、約260万人とも言われています。

 つまり霞が関の約8万人の国家官僚が決定した政策は、政府と国会を通じて法律となり、その法律を実効性のあるものとするため、地方に勤務する22万人の国家公務員が都道府県の地方公務員を指導して、知事と議会を通じて都道府県条例を制定し、都道府県の地方公務員が市町村の地方公務員を指導して、市町村長と議会を通じて市町村条例を制定する。これはあくまでもこの国の公務員の視点に立ったステレオタイプ、見方ではありますが、この国の統治機構を考えると、これは必ずしも当たらずとも遠からずではないかと思います。このようないわゆる官僚中央集権とも言える日本の現状について、上田知事はどのようにお考えでしょうか。

 このビジョンを国民の目線から肯定的に評価すれば、選挙でどんな政権が誕生しようとも、選挙でどんな知事や市町村長、さらに議員が誕生しようとも、霞が関のキャリアを中心とする有能な8万人の国家公務員が、同様に優秀な22万人の地方勤務の国家公務員を通じて、全国各地で採用された地域のエリート集団である260万人の地方公務員が統治している日本は、安全で安心だということが保障されているということにもなります

 しかし、今日的な政治課題である社会保障の在り方や原発問題、TPPや領土問題をはじめとする外交課題等、国民生活に直結した問題解決に決断と実行を即時迫られるような時代になると、政党の違いにかかわらず、私たち選挙で選ばれた政治家の責任と役割は大変大きいと思うわけです。

 今回の選挙の争点にはなりませんでしたが、一部の政党が消費税の地方税化を主張していたことに私は共感を覚えました。事実上、先ほど述べた官僚中央集権が最大限機能をし続けてきた国家権力の最大の力は、かつて3割自治と呼ばれた財源構造にあると思うからです。つまり税金の7割は国税として集められ、地方税は3割。でも、税金が使われるときには地方で7割、国で3割。これが三位一体改革で4割自治と言える程度にまでに地方分権が進んできているとは思いますが、歳入と歳出における国税対地方税の割合は逆転したままの状態であることは変わっていません

 もちろん地方間格差という問題はありますし、交付税制度にも一定の役割があることも事実です。しかし、介護保険も国民健康保険、生活保護や保育や子育て支援策も国の制度であるのにもかかわらず、事業主体が地方自治体である実態を考えると、地方公務員である県庁の職員や市町村の職員はもっと自信と誇りを持って国家公務員と互角であるとの気概を持つべきだと思います。そして、予算は国から配分されるものではなくて、自分たちの事業に必要な予算は地方税として徴収し、お上を見上げて仕事をするマインドをシフトすべきだと思います。

 埼玉県庁の職員さんは大変優秀です。上田知事も、石原前東京都知事や畑知事よりもあらゆる分野で日本の地方行政を大きく牽引してきた実力派の地方自治のリーダーです。是非ともそのお立場から日本の統治機構についてこれまでのご経験から今思っておられること、ご所見をお聞かせいただければ幸いです。

上田清司知事

 従来の中央集権型の行政では地方の実情に応じたサービスがなかなかできないのは、保育所一つの設置についても言えることではないかと思っております。

 一方、我々の方にも課題があったと思っております。県は県で国はどうしているかということを必要以上に気にしていく。市町村は市町村で県の意向はどうだろうかとか。こういう考え方も無きにしもあらずではなかろうかと思っております。
 それぞれ責任逃れができるというか、国はこういう考え方をしている、県はこういう考え方をしている、ということで、一種の安心を取るために、そういうことを結構とるような傾向があったと思っています。

 私も10年1カ月の国会議員、あるいは、その前の新自由クラブの政党職員あるいは役員としての約10年。そして、近年は知事として霞が関の皆さんと様々な形で折衝をしてまいりました。彼らは私が思うに個人として、見識、人格、力量があり、尊敬できる人が少なくありません。

 しかし、組織になった途端、「省あって国なし、局あって省なし」あまり組織として信用できない。こう私も公言をしております。
 それは地域主権戦略会議のメンバーとして最初から最後まで私自身も取り組んだ中でも、たくさんそういう事例がありました。
 例えば、明確に地域主権戦略会議の中で、少なくとも国の出先機関を廃止するということをうたい文句にしながらも、会議の文書では、総理が変わったり、総務大臣が変わる度に、どさくさに紛れて出先機関改革に向けてというタイトルにいつの間にか変わっています。廃止という言葉がいつの間にか改革になっていると、これは、内閣の方針に反することを事務方が、いつの間にかすり替えてしまったりしています。

 そういうことも含めて、困難な課題に関して、落とし所があるのかもしれませんが、方針そのものも変えてしまうという、だから組織としてなかなか信用できない。そう受け止めていたところでございます。
 私もこの地域主権改革で一定の成果というのを挙げられらたのは、もちろん、総務省や地域主権戦略室の事務方のバックアップもありました。最後はやっぱり大臣のリーダーシップで決まった部分がありました。
 そういうことも考えれば、基本的にはやはり役所がどうのこうのと言うよりも、政治リーダーがどう対応するかということに、最後は決まってくると思っておりますので、そういう意味で私は、今後はまさしく本当の意味での政治主導というのは、それぞれ政治リーダーが力量を磨くことではないかと思っております。

 今、道州制なども議論になっています。ただ、そうした議論も広域連合という、出先機関を廃止して一種のプロセスとしての広域連合を活用しようということですらも3年2カ月もかかった。しかもそれは法案で成立した訳ではありません。閣議で決定したところで終わっております。
 そういうことを考えると、大阪都構想も平成27年4月に特別区制移行を目指すということですので、これも大変時間のかかる話で、どこかでいろんなことがあれば、なかなかその年月でできるのかどうかということも、随分考えなければならないことかと思っております。

 そういう意味で統治機構を変えるということについては、霞が関も再編成、地方も再編成、解体再編成につながりますので、相当年月がかかると。今そういう時間が日本にあるのかということを考えていけば、特区とかを最大限に活用していい結果を早く出していく。そちらの方が重要ではないかというふうに、私自身は考えております。

 実際、橋下知事が誕生して大阪府の治安が47位から1位でも上がったことがあるのかと、彼自身に私は問いかけました。高校の中退率は、47位から1位でも上がったかと。経済は長期低落傾向ではないのですかと。
 だから、彼は、私が示したグラフを見て、びっくりして、チームも寄こしました。そのように制度を変えて急に世の中が良くなるのであったら、そんなに苦労しないね、というような話を私はしているところでございます。

 従いまして、これからの時代というのは、まずは地域が互いに競争できるような形で国全体の活力をアップさせるような地域間競争型にすべきではないかと思っております。
 間違っても、学力テストの公表を巡って、文科省が言うように、いたずらに競争を煽るのはいかがなものかと言って封じ込めして、そして、問題が見えなくなってしまうことをしないようにしなければならないのではないかと思っております。
 いずれにしても、私たちは地方主権の改革というのは、正に与野党問わずに、われわれ地方側も試されているということではないかと思っているところでございます。

 また、議員ご指摘のように霞が関の官僚が都道府県を通じて市町村をコントロールする傾向があったのではないかという認識について、私もそのように受け止めております。

埼玉版ウーマノミクスの推進について

山川百合子

 埼玉版ウーマノミクスの推進、上田知事の3期目の3大プロジェクトの一つです。女性の一人として、私もその推進に大きな期待を寄せ、その一助として活動しているつもりです。しかし、埼玉版ウーマノミクス推進に当たっては、課題もあると感じています。まず、基本的なことなのですが、ウーマノミクスという言葉は一般に認識されているでしょうか。調査データとしては、県が23年度に行った調査で、これは男性の意識調査ということで女性は含まれていなかったようですが、ウーマノミクスについて「その内容まで知っている」は、わずか2.7パーセントです。「名前だけ知っている」は13.6パーセント。一方、「知らない」は79.9パーセントです。さらに、年齢別で見ると、年代が低いほど周知度も低いという結果が出ており、20代では92.7パーセントが知らないと答えています。

 埼玉版ウーマノミクスとは何か。そもそも「ウーマノミクスって何」と調べようと思っても、県のホームページで明確にその定義を伝えているところがありません。知事が進める3大公約の一つです。検索をかけたら知事の顔写真入りか何かで、私が推し進める埼玉版ウーマノミクスとはこういうことですよ、こういう社会、こういう埼玉県をつくっていきたいんですと、まずはすっきりと伝えることが必要と思いますが、いかがでしょうか、産業労働部長にお伺いをいたします。

 続いて、ウーマノミクスとは男女共同参画とどう違うのでしょうか。

 ウーマノミクスは、女性と経済を掛け合わせた造語です。女性にフォーカスして生産人口の確実な減少の現実の中で、女性の労働市場への参画が埼玉、そして日本経済にとって欠かせない。だから、女性が仕事に出やすい環境を整備するというところに重きが置かれる、そのようなメッセージになっていると私は受け止めています

 本議会の藤林議員のウーマノミクスについての質問に対する答弁の中に、「女性の多様な働き方について男性の理解を促進する」とありました。しかし、事の本質は女性の働き方に対する男性の理解ではなくて、男性の働き方を見直すことなのではないでしょうか。男性は自分自身の問題なんだと目覚め、長い間の男性社会を前提とした働き方を変えること、男性側の参加、つまり家事や子育てへの参加、男性こそが真に仕事と家庭の両立ができる社会、企業文化を醸成していくことがこの問題の本質だと思うのです。

 県では、女性に配慮した働き方を進める企業を増やそうと認定制度を行っていますが、初期よりその取り組みに熱心であった企業ほどそのことによる会社の負担を感じ出しているということも伺っています。女性にできることは男性にもできるのです。女性に両立を求めるのであれば、男性も両立をしていただきたい。女性への配慮ではなく、むしろ男性が子育てや家事を担うことへの配慮、男性が変われば社会が変わる、そうすれば女性がもっと生き生きと働ける社会が作られる。発想の大転換と男性の両立に向けた政策的誘導の取り組みを強化することが必要と考えますが、知事のご見解をお伺いします。

 続いて、産業労働部長に伺います。

 県では、ウーマノミクスを推進するに当たって、民間からなる推進委員に意見を求め、今年初めに提言書が提出されています。13項目の提言がなされていますが、県としての動きが目に見えない以下の3点について、現在の検討状況と今後の取組について伺います。

1 中学生くらいから女性の就業意識を高めるためのキャリア教育を実施すること。
2 女性の管理職を一定の割合で増やすクオーター制の導入を検討すること。
3 管理職については女性限定で採用できるなど、女性の社会進出を進めるためのウーマノミクス特区の創設を検討すること
 以上、3点について伺います。

 何事も隗より始めよといいます。国が掲げる日本再生戦略においても、女性の活躍促進による経済活性化がうたわれていますが、政府の本気度を示すためにも公務員から率先して取り組むことが重要とされています。県の男性職員はどうでしょうか。男性職員の育児休業取得率は年々上昇しているといっても、平成23年度で8.4パーセントと一割に満たない。女性職員はほぼ100パーセントです。保育所の送り迎えや子供が急な病気のときのお迎え、家事の分担度合いなど、男性職員の両立度合いを調査するなど両立を促す対策は行っていますか。現状と今後の対策について総務部長に伺います。

 ウーマノミクスに関する最後の質問として、県庁におけるクオーター制の導入について、知事に伺います

 誤解のないように強調したいのですが、クオーター制によって女性であれば誰でもいいからとにかくポジションにつけて人数を確保すべきというのでは決してありません。ポジションに対してふさわしいと評価されなければなりませんが、割り当てた数に対して実際にそのポジションにつく女性の職員の数が満たなければ、その理由が何であるのか探っていく。例えば昇任試験を受ける割合が極めて低いのはなぜか。家庭と両立しながらそのことに備えるのが難しいのではないか、管理職になると長時間労働が当たり前、家庭や子育てとの両立が難しいと感じているのではないかなどその原因を探り、解決していくプロセスが大事であると考えます。

 平成24年度の県の採用試験において、受験者に対する男女別の合格率を見ますと、男性12.7パーセントに対して女性は18.88ーセント。女性のほうが男性よりも高い数字が出ています。女性が優秀でないのではなく、昇任試験等を受けるに当たってのネックがあるに違いないのです。

 世の中の半分は女性です。ウーマノミクスを掲げる埼玉県でこそ、クオーター制によって、埼玉県では物事を決定する権限のあるポジションに女性が多数必要であるという姿勢を示していっていただきたい。そして、実際にそのポジションに能力のある女性を増やし、近いうちにせめて職員の男女比と管理職の男女比を同じくらいまでにしていただきたいのです。数が増えればその集団の事情に配慮する職場環境が必ず生まれます。育児、子育て、そして家庭全般を大事にする女性幹部職員の数が増えれば、おのずと男性職員の働き方の見直しが迫られる、そういう環境が作られていきます。県職員の人事におけるクオーター制の導入について、ぜひ、積極的、前向きなご答弁がいただけるよう願い、知事のご見解を伺います。

上田清司知事

 まず、発想の大転換と、男性の両立に向けた政策的誘導の取り組みの強化についてでございますが、私は古来、有史以来と言ってもいいかも知れませんが、貴族を除けば男女が共に働いてきました。
 そして、昭和の初期まで日本は農業社会でございましたので、男女が共に働きながら子育ても一緒にやってきた、こういうことだと思っています。
 お父さんが働いて、お母さんが子育てに専念するというのは、高度経済成長期からほんの数十年の時代にしか過ぎなかったのではないかというふうに思っております。

そういう意味で、男女が共に働くというのは本来の姿だというふうに思っております。
 女性が能力を発揮して社会の多くの分野で活躍できるようなことが、社会はむしろ求めているのではないかというふうに思っております。

 従いまして、男性中心の働き方というのを変えないと、女性の仕事と子育ての負担は変わらず、女性の社会進出は進まない、このように思っています。
 従いまして、埼玉版ウーマノミクスプロジェクトの目的は、女性の社会進出を進めながら、女性がいきいきと活躍できる社会をつくる、これが基本の目的であります。

 そのため、徹底した男性の意識改革と男女共に働く企業文化というものを醸成しなければならない、こんなふうに思っております。
 まずは職場・家庭・地域のワークライフバランスを進めることが必要であります。
 仕事だけではなく家事や育児にも一生懸命取り組むと、またそうした人は、ボランティア活動や地域活動も積極的に取り組んでいる方が多いんですね。
 そういう意味で、何でも熱心な方は何でも熱心だと、このように私は受け止めております。

 今後、ワークライフバランスに取り組むことによって男性の意識改革を図って、女性がよりいきいきと働くことができる社会づくりを進めたいと思っております。

 次に、県庁におけるクォータ制の導入についてでございます。

 埼玉県は審議会委員における女性委員の割合について、平成18年度までに35パーセント以上、現在は28年度までに40パーセント以上とすることを目標にして取り組んでおりますが、平成13年度の25.2パーセントから平成23年度には35.9パーセントまで上昇しております。

 神奈川県が31.6パーセントだそうです。東京都は20.1%だそうですので、そういう部分では埼玉県は非常に、この審議会における女性の割合というものを目標を定めて頑張ってきたせいもあり相当な成果を出している、このように思っております。

 女性の社会参画に一定の目標を設定して、その実現に向かって努力するという、その取り組みというのは重要だというふうに私自身は思っておりますが、女性職員の管理職の登用に当たって、クォータ制で一定の枠を決めるというのは私は好ましいことだと思っておりません。

 むしろ議員が言いますように、職員の管理職への登用そのものは、意欲、能力、実績、そういうものが評価されてくるものであって、無理矢理設定されるものではない、このように思っております。
 ただ、御指摘もありました、女性職員の昇任に負担となっている主査級昇任試験、こういうものも課題にあるのではないか、したがいまして、1次試験の免除とか試験科目を大幅に減らすなど、そういう改革を進めてきております。
 まだまだ違った角度での改革が必要なのかなというふうに受け止めております。

 また、女性職員が家庭と仕事の両立を図るため、育児や介護のための休暇や短時間勤務など環境をどうするかという課題もやはりあると思っております。

 こうした部分での職場の協力、空気というのでしょうか、そういうものが大事だと思っております。部長をはじめ幹部職員の働き方についても課題が私はかつてあったと思います。
 部長がずっと残っていれば課長も残らざるを得ない。課長が残っていれば職員も残らざる得ないということになってしまいますので、最近では、率先垂範してより幹部の方から帰る努力をしているところでございます。時間の管理をしっかりして、率先していい意味での集中して効率のいい仕事をしていただくということが大事だと思っております。

 現状を申し上げれは、副課長級以上の女性管理職の割合については平成15年度4.2パーセントであったものが、6.3パーセントと徐々に増えております。
 そして、知事に就任したときの役付職員に占める女性の割合は11.9パーセントであったものが、17.5パーセントまで引き上がっております。
 そういうことで言えば、まずはこの20パーセントをですね、女性の管理職を20パーセントを目標にして、まずはこれを達成したいと思っております。

 単純なクォータ制ではありませんが、その都度具体的な目標を決めてそれに向かって進めていく、そして、それができない条件というのを取り除いていくという、そういう手法で進めていきたいというふうに思っております。

松岡進 産業労働部長

 まず、埼玉版ウーマノミクスの定義などをどう伝えているかについてでございます。

 ウーマノミクスという言葉はウーマンとエコノミクスを掛け合わせた新しい言葉で、県が三大プロジェクトのひとつとして取り組み始めてから急速に浸透してきた言葉です。

 県のホームページでは埼玉版ウーマノミクスプロジェクトの個々の事業を中心に掲載していたため、言葉の定義自体は分かりづらかった面があるかもしれません。
 しかし、最近では東京の民放キー局の特集でも取り上げられ、新聞、雑誌など数多くのメディアにも紹介され、今ではすっかりその言葉も定着してきたと言えます。
 今後、県のホームページも随時改善するとともに、様々なメディアを通じて埼玉版ウーマノミクスプロジェクトの周知を図ってまいります。

 次に、ウーマノミクス推進委員会からの提言のうち3点の検討状況と今後の取組についてでございます。
 まず、1点目の中学生くらいから女性の就業意識を高めるためのキャリア教育の実施についてでございます。
 女性の就業意識を高めるためには、早いうちからキャリア教育を行っていくことが重要です。
 提言は、女性経営者育成のためのキャリア教育が必要という趣旨ですが、 現在ほとんどの中学校で3日間程度の職場体験活動が実施されています。
 今後は、女性キャリアセンターなどで中学生が女性経営者と直接会って交流できる機会を設けるなど、一歩進んだキャリア教育を実施してまいります。

 次に、2点目の女性管理職を一定の割合で増やすクォータ制の導入の検討についてでございます。
 女性管理職比率は企業の業種や女性従業員の数に大きく影響されます。
 そのため、製造業や建設業など女性従業員が少ない業種では、一律にクォータ制を導入することは現実的ではありません。
 個々の企業の取組の状況に応じて、まずは目標を設定し、その目標を目指して取り組んでいただくことが企業にとっても進めやすい方法だと考えます。
 今後は経済団体とも連携しながら、個々の企業の状況に応じて女性管理職の割合が増えるよう働きかけるとともに、女性が活躍できる企業文化の醸成を図ってまいります。

 次に、3点目のウーマノミクス特区の創設の検討についてでございます。
 提言は、例えば特区を活用して特定の管理職については女性限定で採用できないか、という趣旨でありました。
 特定の管理職への女性限定の採用につきましては、国のポジティブアクション制度を活用することで、特区を申請しなくても対応が可能ということが分かりました。
 そこで、新たに国のトライアル雇用奨励金制度の対象者の拡大を特区で検討した結果、10月に国に対し提案申請したところでございます。

 トライアル雇用奨励金は、職業経験や技能の不足などにより就職が困難な求職者を試行的に雇用する雇用主に対して支給される奨励金です。
 本来であれば45歳以上で雇用保険に加入していない人はこの奨励金の対象にはなりませんが、その要件に該当しない主婦などの再就職がしやすくなるよう今回の特区申請を行ったものでございます。
 今後も女性がいきいきと働ける社会づくりを進めるため、埼玉版ウーマノミクスプロジェクトの取組を全国に発信してまいります。

倉上伸夫 総務部長

 女性が、子育てや家庭生活を大切にしながら、社会の中でいきいきと活躍していくためには、女性の働き方に対する男性の理解も重要ですが、男性自身が働き方を変え、家事や子育てに積極的に参加することが必要です。

 県では平成22年度に、配偶者が育児休業中である男性職員も、育児休業を取得できるよう制度の見直しを行いました。
 昨年度は、育児のヒント集である「イクメンの素」を作成し、男性職員に配布するなどして、育児参加への意識を醸成しております。

 また、今年7月に実施した職員のワークライフバランスに関するアンケート調査では、子育て中の男性職員の59.3パーセントが育児に参加しているとの回答を得ています。
 さらに、育児に参加できていないと回答した職員のうち、61.8パーセントの職員は、もっと育児に参加したいと回答しています。

 議員御指摘の男性職員の仕事と家庭の両立度合いについては、このアンケートでは詳しい実態は把握できませんでしたので、速やかに調査を実施したいと考えております。

 現在、県では、ワークライフバランス検討委員会を設置し、仕事と家庭の両立を支援するための職場環境の整備を進めております。
 具体的には、業務の改善や定時退庁の促進、計画的な休暇の取得など、職場風土の改善を図るとともに、管理職をはじめ職員の意識改革に取り組んでおります。
 今後、さらに職員の育児参加に関する課題を詳細に把握し、子育てしやすい職場環境づくりを進めながら、男性職員の積極的な育児参加を促してまいります。

埼玉県戦没者の遺骨帰還を進めることについて

山川百合子

戦後67年、さきの大戦では約320万人の尊い命が失われました。兵士として戦地に赴き、お亡くなりになられた戦没者の方々の御冥福を祈り、毎年埼玉県でも戦没者を追悼する式が行われています。今年も11月にご遺族の皆様、そして上田知事をはじめとする県民代表の皆さまのご列席の下、埼玉県戦没者追悼式がとり行われました。

 私も毎年お式に参加させていただき、献花を捧げる場をいただいております。がしかし、毎年毎年心に浮かぶことがあります。あの方たちの遺骨、お骨は今どうなっているのだろうかと。あの方たちとは、太平洋戦争の戦況が悪化の一途をたどる昭和19年、米軍の上陸で激しい戦闘の舞台となったインドネシアのビアク島で亡くなられた兵士の方々のことです。十数年前、私はそのビアク島で亡くなられた兵士の方々の遺骨を目にする機会がありました。そのときの驚きは、戦後55年を経て、なおこんなにたくさんのお骨がいまだにこのように日本に帰ることなく残されている。もっと率直な感覚としては放っておかれているとさえ感じ、その光景に衝撃を受けました。

 知事をはじめ、議員の皆様にもその光景を思い浮かべていただきたいと思っています。簡単になんですが、パネルを使ってご説明をさせていただきたいと思います。(パネル使用)まず、ビアク島がどこにあるかでございますけれども、これはアジアを中心とした地図なんですけれども、よく御存じのことと思います。この世界地図です。ここが日本で、これがインドネシア、ここがニューギニア島です。これを拡大したもの、ニューギニア島を拡大したものがこれです。そして、このニューギニア島の西部、西側半分がインドネシアでございます。

 私は、実は議員としての立場をいただくまでは国際人道支援のNGOで働いていたんですが、私はこのソロンという島で生活しながら社会開発の事業を行っていました。ビアク島というのは、ここなんですね。ここのところです。このソロンからビアク島に行ったわけでございます。

 現地で仕事をしているときに、人々から戦争中の話も出てきていました。そんなときにビアク島での戦い、日本兵が最後まで暮らした洞窟のことを知りました。ある日本の旅行のガイドブックに載っていたと記憶しています。ビアク島での戦いは、ニューギニア戦線で敗退を続けていた日本軍が絶対国防圏の拠点として四三年末から飛行場整備を進め、約13,000人が派遣され、そして約10,800人が戦死した激戦地でもありました。私が訪れたのは、司令部が置かれ、兵士たちが身を隠し暮らした洞窟だったようです。

 私が衝撃を受けた光景を目にしてから十数年たちます。いまだに遺骨、お骨が残されています。ビアク島を含む西部ニューギニアで、切実な思いで遺骨の捜索をしている民間団体が1999年から去年3月までに奉還した遺骨は1,102柱。そして、その団体の方が先月11月にこのビアク島を訪れた際にも、何十人もの方々のお骨を発見したそうです。

 ここで、もう1枚写真をお見せいたします。この写真は、慰霊のためにその団体の方々から提供いただいた写真でもあります。その思いを込めまして、この場でご紹介をさせていただきます。

 本来、国が行った戦争で、国のために命を落とした兵隊さんたちの遺骨を探し出し、祖国、そしてご家族のもとに連れ戻すのは国家の責任です。民主党政権下で国の遺骨収集の取り組みが強化され、現在は特に硫黄島からの遺骨帰還を中心に進められているということは聞いているところです。しかし、いまだに太平洋戦争の海外での戦没者約240万人のうち、帰還された遺骨は約127七万柱、未帰還の遺骨は約113万柱。そのうち、御帰還が可能と推計される遺骨が約61万柱あると言われているそうです。残された方々は一体いつになったら戻れるのでしょうか。帰還事業はいつまで続ければ終わるのでしょうか。

 知事は、そのような光景を目にされたことはありますか。埼玉県関係の戦没者は48,453人と言われています。ぜひ、アジア等の国々に行かれる際には、そのような機会を持っていただけることをお願いしたいです。

 毎年追悼式を行い、戦没者の霊の慰めを行っている埼玉県です。ご遺骨、お骨を一刻も早く御家族のもとにお返しすることにおいても、知事の力をかしていただきたいのです。埼玉県の長として、県民の遺骨の御帰還についてどのようなお考えをお持ちですか。帰れるはずの遺骨を家族のもとにお返しするために、知事としてどう行動していただけるでしょうか、上田知事にお伺いをいたします。

上田清司 知事

先の大戦で海外において約240万人の方が亡くなられました。
 このうち、終戦直後に約94万柱が軍人等により持ち帰られました。
 1952年のサンフランシスコ平和条約の発効後、国により調査収集が開始されました。
 大規模な遺骨収集は1975年に終了しましたが、その後も継続的に遺骨収集が続けられております。
 国交がないことや対日感情、宗教上の理由などから相手国の理解が得られずに遺骨収集ができない国があります。
 また、遺骨が海に沈んでいる、ジャングルに広範囲にわたっているなど、実質的に収集作業が困難な場合もあると聞いております。
 今、ご指摘いただきましたインドネシアでは、国内法の改正により戦没者の遺骨が文化財に該当するのではないかという議論があり、困難な状況にあると聞いております。
 しかし、今、日本国政府は、収集の再開に向けてインドネシア側と交渉していると聞いております。

 私は、どんな困難な理由があっても祖国を想いながら異国の地で散った戦没者の遺骨は国の責任において速やかな帰還を図るべきだと考えております。
 私自身は、残念ながら戦没者の遺骨収集団に加わったことはありません。
 そうした機会があれば考えたいと思いますが、今の立場の中でそれぞれの役割があるのではないかと思っておりますので、私なりの役割を果たして行きたいと思います。

 遺骨収集は、現地における混乱を回避するなど外交上の理由により県が独自に実施することを認められておりません。
 県としては、1977年から埼玉県遺族連合会とともに海外慰霊巡拝を行っております。
 これまで9カ国に延べ37回実施しております。
 本年はお話しのビアク島を含む西部ニューギニアに慰霊団を派遣し、慰霊を行ってまいりました。
 国が責任をもって速やかに対応すべきとの議員のご趣旨には、私も同感であります。
 1日も早く遺骨が祖国日本に帰還できるように、遺族会とともに国に要請をしてまいります。

消費者教育の推進について

山川百合子

 本年8月10日、消費者教育推進法が制定されました。法では、消費者教育の機会が提供されることが消費者の権利であることが確認され、国や地方公共団体の責務として、幼い子供から高齢者までが学校や地域で被害防止に必要な知識を身に付けるための施策を講じることを定めています。

 埼玉県では、この9月に28年度までの消費生活基本計画を新たに策定し、消費者行政の充実に取り組まれています。法律の施行は明日13日ですが、この法の施行によって、より教育の推進が強化されるものと思います。これまでも取り組んできている県ではありますが、教育局とも連携しながらどのように消費者行政の更なる拡充に努めていかれるのか、県民生活部長にお伺いをします。

 続いて、学校教育における消費者教育の充実について伺います。
 中学校や高校の公民や家庭科の教科書では消費者教育を扱ってはいますが、私も目を通しましたけれども、いわゆる教科書の簡単な知識であって、日々の生活に実践的に反映するような内容ではないように思います。

 そこで伺います。他県にはあまり見られない体験コーナーを有する埼玉県のくらしプラザ、楽しんで体験しながら金融教育が受けられる施設ですが、学校による利用状況は今年度5月から11月までの間で小中合わせて38件。せっかくの施設ですから、特に中学生くらいまでの児童生徒に対する教育の場としてより有効に活用すべきと考えます。今後の義務教育における消費者教育の充実について、また、くらしプラザのみならず、県民生活部などの関係機関との連携について、教育長に伺います。

 そして、何より社会に出る手前の高校教育における消費者教育の充実について伺います。
 県では、消費者教育推進事業として今年度200万円の予算で6校を研究校として指定し、教科の枠を超えた研究を実施しています。2年間をかけて来年度中に指導資料を作成する予定です。今年度、それぞれの学校が取り組む中でどのような課題が見出されているか、そして今後どのように教育のカリキュラムの中に位置付けていかれるか、教育長にお伺いします。

 神奈川県では、既に3年前から教育局が積極的に外部の人材、教材を各学校長に紹介して金融教育を行うことを推奨しています。法律も施行になることですし、たった1コマの外部専門講師による講座であっても基本的な注意喚起、対処法の基本に気付かせることができ、大変重要です。25年度に指導資料を作成しても、指導する先生を研修するのにも時間がかかります。外部講師を招いても特別な予算措置が必要ないものが既に行われています。それらについては順次取り入れていくべきではないでしょうか。以上、教育長にお伺いをいたします。

吉野淳一県民生活部長

「消費者教育の推進について」、お答えを申し上げます。
 本県では、悪質商法の被害防止や商品購入に当たっての環境への配慮など、さまざまな消費者教育事業に取り組んでまいりました。
 平成23年度は、若者、高齢者、教職員などを対象とした消費生活講座を233講座開催し、約2万人の県民の参加をいただきました。
 その他にも県職員が直接地域に出向く「県政出前講座」の開催やホームページ、情報誌「彩の国くらしレポート」などを活用した情報提供に取り組んでおります。

 今後は、特に増加が著しい高齢者の消費者被害を防止することが大切です。
 住民に身近な市町村消費生活センターを中心に、地域包括支援センター・民生委員など福祉・自治会関係者の協力を得て消費者教育を推進してまいります。
 一方、明日、施行される消費者教育推進法は、商品を買うだけで満足することなく、購入という行為を通じて社会への貢献や環境への配慮を意識していく社会の実現を求めています。
 その実現のためには、児童・生徒がその発達過程に応じて適切な消費者教育を受けられるよう、教育委員会と連携していくことが重要となります。
 このため、県消費生活支援センターが実施している「教職員消費生活セミナー」をさらに拡充してまいります。

 また、県・市町村の消費生活センターに寄せられた消費者被害の実例や悪質事業者の手口などさまざまな情報を、学校現場に的確に情報提供いたします。
 さらに、消費生活相談員が学校へ直接出向き、商品を購入する契約自体に責任が伴うことや若者をねらった悪質商法の事例などを紹介し、安易な契約に注意を促す消費生活講座を一層充実してまいります。

 こうした取り組みによって多くの児童・生徒が消費者被害に遭わず、自ら責任を持って行動し、健全な社会生活を送れるよう支援してまいります。

前島富雄教育長

「消費者教育の推進について」お答えを申し上げます。
 新学習指導要領では、主体的に生きる消費者を育むなどの視点から消費者教育の充実が示されているところでございます。

 まず、今後の義務教育における消費者教育の充実と県民生活部など関係機関との連携についてでございます。
 小中学校では、「家庭科」「技術・家庭科」「社会科」等を中心に消費者教育に取り組んでおります。
 例えば、中学校の技術・家庭科では、高額請求などの消費者トラブルへの対応について理解を図るとともに、ロールプレイングを取り入れた疑似体験による主体的な学習をしております。

 また、「消費生活支援センター」の相談員などを招いて、教員と共に、中学生に関わりの深いインターネットや携帯電話でのトラブルの事例などを基に授業を展開し、学習効果を高めている学校もあります。
 今後も、県民生活部などと連携しながら、市町村教育委員会に「彩の国くらしプラザ」における体験的学習の実践例を紹介します。
 さらに、「消費生活支援センター」が実施する教職員対象の研修への参加を働きかけるなど、義務教育における消費者教育の充実に努めてまいります。

 次に、高校における消費者教育の充実に向けた取り組みについてでございます。
 県では、消費者教育推進法の制定や学習指導要領の改訂を踏まえ、自立した消費者の育成を目指して、消費者教育推進事業を実施し、県立高校6校において、効果的な学習プログラムの開発に取り組んでおります。

 まず、「取組の中で見いだされた課題」についてでございます。
 これまでの消費者教育は、個別の教科でそれぞれ行われていたため、生徒は、総合的な知識として身に付けることが難しい状況でした。
 そこで、この課題を解決するため、消費者教育に相互に関わりのある家庭科、公民科、情報科で教えている内容を関連付けた学習プログラムを開発しているところでございます。
 例えば、契約について学習するにあたり、公民科で学ぶ、契約の意味と、家庭科の内容である、実際の契約の問題点など、さらには、情報科でのインターネットの取引などを結び付け、教科横断的に学ぶような内容を検討しております。

 次に、「外部講師の講座を順次取り入れていくこと」についてです。
 消費者教育推進事業では、消費者庁や金融機関などが作成している教材や外部講師のリストなども参考に、指導資料としてまとめ、各学校に活用してもらう予定です。
 外部講師のリストについては、指導資料の完成を待たず、適宜、全ての県立学校に情報を提供し、その活用について働きかけてまいります。

 今後とも、児童生徒が自立した消費者として主体的に行動できる能力と態度を身に付けられるよう、消費者教育の一層の充実に努めてまいります。

地域包括ケアシステムの推進に向けて県のより積極的サポートを

山川百合子

 社会保障と税の一体改革、国が掲げる社会保障改革の中の重要項目として掲げられているのが地域包括ケアシステムの構築です。2025年までに日常生活圏、おおむね中学校区程度を単位として、住まい、生活支援、24時間の在宅看護、医療、そして予防の全てのサービスが受けられるようにするというビジョンです。正に理想的なビジョンです。しかし、このビジョンに対して、このシステムの実行者とされる市町村及び単位ごとの核と位置付けられている地域包括支援センターなど、現場の実態と国が示すビジョンとの間には大きな大きなギャップがあります。このギャップを埋め、示される理想的なビジョンを具現化するには、市町村に対する県のきめ細やかなバックアップが必要であると思います。そこで、以下、3点伺います。

  1. 本年3月に新たな医療計画作成のための参考として国から示された在宅医療の体制構築に係る指針では、地域の実情に応じて病院、診療所、訪問看護事業所、地域医師会等関係団体、そして保健所、市町村等の主体のいずれかを在宅医療を担う拠点として位置付けることが望ましいとされています。こうした在宅医療の拠点施設を整備する必要性についてどのようにお考えでしょうか、保健医療部長にお伺いをいたします。
  2. 24時間対応の訪問介護、訪問看護サービスは、介護と看護が密接に連携し、介護が必要となっても高齢者ができるだけ自宅で生活できるサービスとして期待をされています。しかし、全国的に見ても思うように進んでいないのが現状です。県ではどのようにしてこの事業を進めていかれるのか、福祉部長にお伺いをいたします。
  3. 高齢者の状態に応じて適切に支援するためには、精神保健福祉士や弁護士など専門家によるアドバイスが必要であると考えます。こうした職種を地域包括支援センターが確保するのは困難な地域もあるはずです。県が支援すべきと考えますが、福祉部長にお伺いをいたします。

奥野立保健医療部長

 「地域包括ケアシステムの推進に向けて県のより積極的サポートを」についてお答えを申し上げます。
 在宅医療の拠点施設を整備する必要性についてでございます。
 患者さんが安心して在宅で療養するためには、日常的な生活を支援する介護サービスと継続的な医療を一体的に提供する必要がございます。
 そのためには、医療と介護を担う機関の連携を強化するとともに、医師、看護職員、ケアマネージャーなど医療・福祉の従事者がお互いに専門的な知識を活かしながら顔の見える関係を作ることが重要でございます。

 多くの職種が協働して在宅医療の支援体制を構築するための拠点として、3カ所の病院が今年度から国の在宅医療連携拠点事業の指定を受けております。
 この中では、地域の医療と介護の関係者が定期的に集まり、個々のケースについて在宅医療を提供するための課題や解決策の検討を行っております。
 在宅医療を広く普及するためには、こうした拠点となる施設の役割が極めて重要でございます。

 今後は、現在実施している国の事業の成果や地域における医療・介護資源の状況を踏まえ、拠点となる施設の整備や支援の在り方などについて検討してまいります。

荒井幸弘福祉部長

「地域包括ケアシステムの推進に向けて県のより積極的サポートを」についてお答えを申し上げます。
 まず、24時間対応の訪問介護・訪問看護サービスをどのように進めるかについてでございます。
 この事業は、10月末現在、全国の市町村の約4パーセントに当たる69市町村でしか実施をされておりません。
 本県では、8市町で事業者の指定を行っておりますが、その多くは利用者がいないため、具体的なサービスの提供には至っておりません。
 こうしたことから、新たな市町村への拡大も進まない状況にございます。

 県では、本年6月に上尾市及び熊谷市をモデル市に指定し、事業者とともに事業実施に当たっての課題解決に向け検討を重ねてまいりました。
 利用が進まない理由の一つとして、利用者自身やケアマネジャー・病院関係者などにサービスの内容やメリットが十分理解されていないということがわかりました。
 そこで、県では、モデル市とともにケアマネジャーや医療ソーシャルワーカー、民生委員などと延べ23回にわたり意見交換を行ってまいりました。
 その結果、制度の有効性が理解され利用者の確保にもめどが立ちましたことから、上尾市では12月1日から、熊谷市においても1月1日からサービスが開始されることとなりました。
 今後とも、モデル事業によって得られた様々なノウハウを県内市町村及びケアマネジャーや介護事業者に提供し、このサービスの普及促進を図ってまいります。

 次に、高齢者支援に対する専門家のアドバイスについてでございます。
 地域包括支援センターでは、例えば精神疾患の治療や権利擁護といった困難なケースが増えてきております。
 このようなケースの課題解決には、専門家の支援が不可欠でございます。
 このため、センターが精神保健福祉士や弁護士などの専門職から適切なアドバイスが受けられるよう、今後、県として、その仕組みの構築について検討してまいります。

緊急人道支援のプロであるNGOとの協力関係構築について

山川百合子

 未曽有の被害をもたらした東日本大震災。地震・津波発生直後からあらゆる組織や団体、個人が課せられた業務、自分のできることを懸命に行いました。自衛隊や消防、警察、行政などの公的機関、企業、各種団体、労働者の組織、宗教団体など民間組織、そして多くのボランティア団体、個人、また、物資やお金を寄附された方など、何らかの形で支援に関係した方々は数え切れないほどたくさんいました。

 今回の質問で知事および皆さまにお伝えし、お考えいただきたいのは、支援活動のプロであるNGOの存在です。NGO、ああボランティアねと思われた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ボランティアという言葉に民間の無償の善意の団体、あるいは個人、あくまで素人の集団であり、個人であるという意味が含まれるのであれば、あえて支援活動を専門に行う特定のNGOはボランティアではなく、善意のプロ集団と申し上げたいのです。

 先ほど戦没者の遺骨帰還についてでお話ししましたように、私はこの仕事に就かせていただく前は、海外の災害や紛争地帯などで難民となった方々を支援する人道支援団体のNGOのスタッフでした。そのNGOが設立の中心となったJPFという団体があります。国際人道支援組織、ジャパン・プラットフォームです。NGO、経済界、政府が対等なパートナーシップを組み、3者が一体となり、それぞれの特性、資源を生かし、難民発生時、自然災害時の緊急援助をより効率的、かつ迅速に行うためのシステムとして設立をされました。2000年の設立以来、総額219億円、37の国や地域で750を超える事業を展開してきました。

 このJPFが東日本大震災の際の支援活動にも大きな役割を果たしています。3月11日、午後2時46分に地震発生。それから3時間とたたない午後5時32分に支援開始を決定しました。そして、6時間後には企業から最初の支援金が届き、翌3月12日にはヘリコプターによるNGO同士の合同調査を実施。企業や個人からの支援金は1か月後には20億を超え、翌年の3月までの1年間で約3,000社の企業と約4万人の個人から合計約70億円の支援金が集まり、既に86パーセントが加盟団体を通じて支援活動に使われています

 支援活動の一例だけをお話しします。被災3三県の仮設住宅に対する生活必需品の配給です。国や行政は被災者のための仮設住宅を設置しました。それだけでは生活ができないということで、日本赤十字社が家電六点セットを供給したことは当時報道され、国民の知るところとなりました。しかし、避難者が仮設住宅で生活するには住宅という箱と家電製品だけあれば暮らせるものではありません。料理をするためには鍋やフライパンが必要ですし、寝るためにも布団が必要です。JPFは、JPFの加盟団体である各NGOとともに被災3県のほぼ全ての仮設住宅に生活必需品スターターキットの配給を行いました。自分たちで資金も物資も調達し、各仮設住宅団地に自分たちで届けました。費用は約20億円です。

 復興にはまだまだ時間はかかりますが、企業や個人から寄せられた支援金で「共に生きるファンド」を設立し、きめ細やかな支援活動を展開するNPOに助成も行っています。支援をスタートする時点で、既に3年間支援活動を継続していくことも決めています。東日本大震災は、JPFにとって国内の大規模災害にこれだけの規模で出動したのは初めての経験となりました。

 そして、これまで海外の支援の際には経験しなかったような壁にも直面したということです。行政の壁というのは私が使う言葉ですが、支援活動の専門家としてのNGOの存在が日本では十分認識されておらず、一ボランティアとして扱われるため、支援活動に不可欠な行政が持つ情報へのアクセスがとても限られていた。そういった地域が数多く、ほとんどの地域でそうであったようです。

 海外での緊急人道支援の際は、受入国政府と国連と世界各国から集まるNGOなどが即座に調整会議、コーディネーションミーティングを設置する仕組みになっています。そして、調整会議にて支援の内容、資金調達などをどんどん決めていきます。日本の場合は行政機構がしっかりしていますので、救助、支援はあくまで公の機関が行い、民間は業界とそれ以外は全てボランティアとして分類しているのではないでしょうか。いわゆるボランティアに分類されることで、支援のプログラムを組むことのできる団体が、一個人としてがれき処理や泥かき、食事の配膳などに携わる方たちと同じように考えられてしまい、被災地全体の情報を得ようと思っても、避難所の運営全体に対してサポートができることがあっても、「ボランティアセンターに行ってください」という対応が繰り返されます。これではJPFが持つ人的、資金的、また、ネットワークの力をタイムリーに生かすことができません。

 いざ埼玉県を大災害が襲った際に、県は支援活動のプロ集団であるNGOを受け入れ、連携し、団体のノウハウや市民、企業から寄せられる寄附や物資、ネットワークなど団体が持つ資源を700万県民の支援に生かすことができるでしょうか。

 災害を含む人道支援を専門とするNGOについてのご所見を知事にお伺いいたします。

 そして、今後の協力関係構築に向けた取り組みについて、危機管理防災部長にお伺いいたします。

上田清司知事

 緊急人道支援のプロであるNGOとの協力関係構築について」のお尋ねでございます。
 首都直下型地震などの大災害には行政だけではなく、個人や民間企業も含め総力を結集して対処する必要がございます。
 本県では大規模災害に対する支援組織として、民間の各企業や埼玉県医師会をはじめ多くの団体との協定を結んでおります。
 また、災害ボランティアバイクネットワーク関東埼玉支部やNPO団体である日本救助犬協会などとは、九都県市の実動訓練を行って、実動の経験を踏まえた形での連携をさらに強く構築しているところでもございます。

 NGOは一般的に政府を補完し、国際協力に携わる非政府組織でございます。
 海外支援のノウハウも蓄積したNGOのパワーは、大変心強いものだというふうに思います。
 御指摘のように今後予想される広域被害に備え、大規模な避難所運営のノウハウなどを持つNGOとの関係を平素からつくっておくことは必要である、このように思います。
 実際、どのような場面やボリュームで御協力をいただけるか、あるいは連携ができるかということについては、今後の課題かもしれませんので、危機管理防災部で、さっそく関係のNGOとの話合い、打合せをさせていただきたいと思っております。

福島亨危機管理防災部長

 「緊急人道支援のプロであるNGOとの協力関係構築について」でございます。
 協力関係を構築するには、相互の理解が必要でございます。
 まず、災害時にNGOの力を十分発揮していただくための連携・連絡体制について協議してまいります。
 また、NGOに対しましては、本県の地理的条件や交通網、支援受援体制などの情報を提供してまいります。

 本県は近年大きな災害に見舞われたことがございません。
 実際に多くの被災者支援に携わった経験やノウハウを持つNGOから御意見を伺い、防災対策に反映することも必要なことと存じます。
 災害時に迅速・効果的に被災者を支援するため、平素からNGOとの顔の見える関係を築いてまいります。

上記質問・答弁は速報版です。
上記質問・答弁は、正式な会議録とは若干異なります。