埼玉県議会議員 山川百合子

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平成26年9月定例会

「妊活」のすすめ~「不妊」を乗り越えるために~

「不妊治療」と「不妊教育」について

山川百合子

 初めに、「妊活」のすすめ、「不妊」を乗り越えるためにについて伺います。

 今年の3月の予算特別委員会において、私は、不妊教育と不妊治療について取り上げました。そこでは、今、6組に1組のカップルが何らかの不妊に悩んでいるということ、不妊の原因は男性、女性、双方にあることをお伝えした上で、年齢と生殖機能についての知識不足が日本で顕著であること、体外受精で生まれる子供たちが今や出生者数の3パーセントに上っていることなどをお示ししました。知事、教育長をはじめとする執行部の皆様方も、それらの実態について認識を共有していただき、より積極的な取組に向けて大変前向きな御答弁をいただくことができました。大きな期待を寄せているところです。

 そこで、以下伺います。

 避妊は教えるが、不妊は教えない日本の教育現場。避妊についての教育は学習指導要領に掲げられ、学校現場で詳しく教えている一方で、不妊については指導要領に内容がなく、先生方の認識も全体としては極めて不十分な現状があります。埼玉では、教育現場でどのように体についての正しい知識を教えていかれるのでしょうか、教育長に伺います。

 県は、大学生を対象にした思春期講座を始めるとのことです。教育機関、企業、社会人に対してインパクトのある啓蒙啓発活動を今後どのように展開していくのか、保健医療部長に伺います。

 保険が適用されず、一周期ごとに30万から80万とも90万とも言われる不妊治療医療費、余りにも高額で、個人で負担するには限界があります。不妊治療を少子化対策の重要施策として位置付けている国では、経済的理由で不妊治療を断念することがないよう、また、適切な医療サービスを受けることができるよう制度を整えています。日本では、医療機関選びも、そこで課せられる基準の見えない治療費負担も、ほとんど個人の意思と努力によっています。国の補助事業での助成では不十分として、県単、市単で上乗せ補助をしているところもたくさんあります。少子化対策を進める埼玉県でも、特定不妊治療医療費助成への上乗せ補助が切望されます。埼玉県民には朗報はもたらされるのか、保健医療部長にお伺いをいたします。

 そして、来年度に向けて現在検討されている新たな埼玉県子育て応援行動計画、新コバトンプラン、この中で妊娠、出産に関する正しい知識の教育、啓蒙啓発活動の重要性についてどのように位置付けていくか、福祉部長に伺います。

関根郁夫 教育長

  現在、中学校では、受精や妊娠について、高等学校では、家族計画の意義、妊娠や出産に適した時期があること、それに伴う健康問題について、それぞれ発達の段階に応じて指導を行っております。現行の学習指導要領においては、不妊についての内容はありませんが、高等学校の保健体育教員等を対象とした授業研究会において、避妊だけでなく不妊についてどのような指導を行ったらよいか研究をしております。

 今後は、研究の成果を学習指導要領の「結婚生活と健康」の中で教員が活用できるよう、県内の高等学校等に普及してまいります。

石川 稔 保健医療部長

  まず、「教育機関、企業、社会人に対して、インパクトのある啓蒙啓発活動を、今後どのように展開していくか」についてでございます。

 議員お話のとおり、不妊についての正しい知識を持っている県民の方はまだ少ないのが実状です。そこで、8月に妊娠・出産や子育てについての応援サイトを県ホームページに開設し、その中で不妊に関する情報をわかりやすく県民に発信をいたしました。

 また、予算特別委員会におきまして議員から推奨のありました大分県の事例を参考に、若い時期から妊娠や不妊に関する正しい知識をわかりやすく学んでもらうための冊子が10月中にはいよいよ完成する運びとなりました。この冊子を大学への出前講座や、県内の高校生への啓発資料として活用してまいります。また、全市町村へ配布し、住民が婚姻届を提出した際にお渡ししたいと考えております。

 さらに、企業に対しましても要請に応じて出前講座を積極的に実施したいと考えております。不妊に関する正しい知識を多くの県民の方に学んでいただけますよう助産師会などの御協力もいただきながらその普及に努めてまいります。

 次に「治療費助成の拡充を」についてでございます。

 体外受精や顕微授精の不妊治療費は、高額で、医療保険も適用外となっております。不妊に悩む夫婦にとっては大きな負担となっています。そこで、県では平成16年度から助成を行っており、その件数は年々増加をしております。平成25年度は、6,819件、約8億7千万円を助成し、1,630件の妊娠につながりました。

 県では、不妊に悩む方への更なる支援策として、「国の施策に対する提案・要望」の中で、不妊治療に対する医療保険の適用化を厚生労働省へ要望しております。本年11月には、これに加え「男性不妊治療に対する新たな助成制度の創設」についても強く要望していきたいと考えております。今後も、不妊で悩む方への経済的な負担が少しでも軽減されるよう、不妊治療の専門家の御意見もいただきながら効果的な支援策について検討をしてまいります。

鈴木豊彦 福祉部長

   少子化対策を進めるためには、子供が産まれた後の子育て支援に加えて、子供が産まれる前の、結婚、妊娠、出産の段階での支援をさらに充実していかなければなりません。

 議員お話の妊娠・出産に関する正しい知識の教育・啓蒙啓発については、現行計画では、「妊婦検診の定期的な受診の必要性の普及啓発」など主に妊娠した方やその家族を対象とするものでございました。妊娠を希望する人が、望みどおり妊娠ができるように、妊娠と年齢の関係、体重や喫煙、過度の飲酒の影響などを若い世代に正しく理解してもらうことも必要です。

 若者が妊娠・出産に関する正しい知識を得ることは、人生設計を考える上でも大変重要でございます。このため、新計画においては「妊娠・出産に関する正しい知識の普及」を明確に位置付け、高校生などの若い世代に対して、こうした知識を普及する機会を設けるなど実効性ある施策を進めてまいります。

「不妊治療」と「不妊教育」について

山川百合子

 次に、男性不妊について取り上げたいというふうに思います。

 予算特別委員会では、いわゆる卵子の老化について御説明しましたが、精子は老化しないのでしょうか。性交渉ができる限り、男性の年齢は関係ないと考えられがちですが、最近の研究では、精子も年齢によって数や運動率が低下することが指摘されています。獨協医科大の研究では、ある一定の割合で35歳を境に卵子を活性化させる能力低下が際立ったという報告もされています。また、男性の加齢で自然流産の確率が上昇するという結果が複数の症例対象研究で報告されています。また、年齢に関係なく、様々な原因の男性不妊があります。精子の数が乏しい乏精子症、精子が全くない無精子症、精子の運動率が低い精子無力症、EDほか様々な原因があります。

 子供を持つということから見た場合の男性不妊の深刻な課題は、それらの原因以上に、男性自身が自分たちの間に赤ちゃんができないのは、もしかしたら自分に原因があるかもしれないと考えること、ましてや進んで検査に行くことが極めてまれであるというところにあります。性交渉ができているときに、自分の精子は大丈夫だろうかとは、なかなか考えない。「男性不妊症」の著者である男性の生殖医療専門医は、「男性が自分は大丈夫と思っているのは根拠のない自信であり、男性のプライドが受診を遅らせ、子供を持てる可能性をどんどん狭めていくものでしかない」と指摘しています。

 WHOによれば、不妊症の原因で女性のみは41パーセント、男性のみは24パーセント、男女共が24パーセント、そして残り11パーセントが原因不明としています。繰り返しますが、不妊の原因の半分は男性にあるのです。子供は、女性だけが頑張って授かるものではありません。男性不妊についての知識を広げ、社会がそのことをありのままに受け止めるための取組がとても重要です。

 そこで、まず、上田知事が男性不妊についてどのような御認識をお持ちであるのか、お伺いいたしたいと思います。

 男性不妊については、男性が自分自身のこととして受け止める啓蒙啓発と併せて、男性不妊の治療のための助成が必要ではないかと思います。現在行われている特定不妊治療医療費助成は、カップルの不妊の原因が男性か女性かにかかわらず、手術を受けるのは女性です。一方、男性不妊の原因の中で男性が手術を受けることで回復につながる治療については、実質的には国の補助制度はありません。全国に先駆けて、今年度から福井、三重で男性が受ける不妊治療のための助成がスタートいたしました。先駆的な取組として大変評価するものですが、金額が5万円と、30万から50万もかかると言われる治療費に対していささか助成額に限りがあるように思われます。

 埼玉県では、男性不妊治療への応援の意味を込めて、インパクトのある金額で助成制度をスタートしていただけないでしょうか。子供を授かりたいと願うカップルにとって、治療を受ける後押しになることはもちろんのこと、男性が受ける不妊治療に埼玉県が助成を始めることによって、社会全体に男性不妊についての関心を広げていくことにつながるはずです。埼玉県から国を動かしていきませんか。知事の御英断をお願いいたします。

上田清司知事

 不妊は女性に原因があるという誤った認識が社会に根強くあると思います。特に、男性は不妊の原因が自分にあるという意識は一般的に希薄ではなかったかというふうに思っております。

 しかし、WHO世界保健機関の調査によりますと、不妊の原因の半分が男性にあるとされています。こうした事実をしっかり県民の方々に知っていただく必要がございます。私も、このところそうした事実をよく知って、改めて考え方を直したところでもございます。

 次に、男性不妊治療への応援の意味を込めて、インパクトのある金額で助成制度をスタートできないかについてでございます。

 男性不妊の原因として無精子症などがあり、100人に1人の割合で疑いがあると言われております。こういう方々にあっても、適切な治療により妊娠に結びつく可能性があると言われています。現在、男性不妊治療についての助成制度はありませんが、少子化が進む中、出産や子育ては社会全体で支援すべき問題だと思っております。

 不妊の原因を抱えている男性が、一人でも多く治療を行い、妊娠に結び付けられるよう、国の助成制度の創設を求めるほか、県独自の対応についてしっかり検討していきたいと思います。

「不」という否定語ではなく、「活」という積極的かつ肯定的取組を!~偏見からの脱却~

山川百合子

 続いて、今後の取組に当たっての御提案をしたいと思います。それは、施策展開をするに当たって、「不妊」という言葉を使うことが適切かどうかについてです。地元でも不妊治療をしていることを公表し、すっかり慣れたような私ではありますが、しかし、この言葉を使うたびに心臓の奥のあたりがちくりと痛みます。生殖機能の状態から現れる症状を「不妊」という言葉で表現するのは適当であるかとは思います。しかし、この身体的なことを踏まえた上で、では赤ちゃんを授かるためにはどのように取り組んでいくか、これから大人になっていく若い世代が赤ちゃんを授かるということを、自分自身の選択や準備、ライフプランニングの中に位置付けていくという、より能動的なこととして理解するためには、妊娠できないという意味の「不妊」よりも、より積極的な言葉を使うことが極めて大事ではないかと思うのです。

 そこで、知事に伺います。この「不妊」という言葉が否定的な意味合いを持ち、偏見を強め、女性たちにとって、そしてこの問題に直面するかもしれない男性たちにとって、心理的ハードルをより高くしてはいないでしょうか。生殖機能の疾患は、胃や腸や肝臓が病気になることと何ら変わらないはずです。しかし、子供をつくれるかどうかということが、その人の価値につながるかのような社会的偏見がまだまだ日本の社会には存在しているのではないでしょうか。知事の御見解を伺います。

 近年、芸能人などの利用により広がっている「妊活」、これを使って事業を展開するのはいかがでしょうか。「妊活」の中に、体のことについての啓蒙啓発活動も不妊治療の助成制度もある、さらには妊娠しやすい体づくりや、男性は精子にマイナスの影響を及ぼす膝の上でのノートパソコンをやめる、自転車には長時間乗り過ぎないほうがよいなどの知識の普及にも取り組んでいく。新コバトンプランの中にも「妊活」の言葉を明記する。不妊についての偏見を取り除き、積極的、肯定的な取組につなげていくことについての知事の御見解をお伺いをいたします。

上田清司知事

 最近では、「就活(しゅうかつ)」、「婚活(こんかつ)」という言葉が定着しております。これに加えて子供を望むことについて「妊活(にんかつ)」という言葉が使われています。

 例えば、芸能人の森三中の大島美幸さんが、妊活で仕事を休むことを公表して話題になったこともございます。このように、不妊に対する社会的認識は、少しずつ変化しています。

まだ不妊についての偏見は、否定できないものがあるとは思います。しかし、不妊は、子供を求める夫婦にとって切実な問題でありますが、決して特別なことではない、そのように県民にしっかり伝えていく必要があると思います。

 次に、「妊活」という言葉を使って、不妊についての偏見を取り除き積極的な取組につなげてはどうかについてでございます。

 妊活という言葉はポジティブであり、かつポピュラーになりつつありますから、今後の県の事業展開の中で、コバトンプランの策定の中でもこうした言葉を生かしていきたいと考えております。

認知症施策の強化について

認知症サポーター登録者アップを~知事もサポーターに!~

山川百合子

 続いて、認知症施策の強化についてお伺いをいたします。今日は、オレンジリングをつけて質問をさせていただきたいと思います。

 昨年、軽度認知障害の方を含めると、65歳以上の4人に1人が認知症、その予備軍だという数字が出されました。高齢化率が全国一早いスピードで上昇する埼玉県でも、真剣に取り組む課題であると考えます。埼玉県では、高齢者支援計画の中に認知症対策の推進を掲げていますが、熊本モデルを作る熊本県や滋賀県、そしてお隣東京都などと比較しても、埼玉県では取り組むべき課題や施策の余地がかなりあるように見受けられます。

 認知症は、風邪と同じように誰にでも起き得る病気で、それは胃や心臓や肺が病気になることと何ら変わらない体の疾患のはずです。サポーター養成講座で教えていただいた、認知症の方々は困った人ではなく、困っている人であるという認識を基本に据えて、様々な施策、仕組みづくりを展開していくことが、御当人や御家族の方を取り巻く厳しい環境に風穴を開けていくことにつながると思うのです。

 そこで、まず、上田知事の認知症についての基本的な考え方、そして埼玉県における認知症施策の強化の必要性について知事がどのように御認識されているか、お伺いをいたします。

 認知症施策に熱心に取り組む熊本県では、蒲島知事御自身が認知症サポーターとなり、県民に広げていきました。今年6月末の都道府県別認知症サポーターの人口比は、全国平均の3.76パーセントをはるかに超える10.66パーセントで、全国一位です。これは、全国下から数えて3番目の2.42パーセントの埼玉県の4倍になります。知事の影響力は絶大です。知事御自身が認知症の講習を受け、県民の認知症についての理解の一歩につなげていただくことをお願いしたいと思います。知事の御決意をお願いをいたします。

 今年6月末時点の埼玉県のサポーター登録数は約17万6千人ですが、県が今年度末の目標値として設定した22万人の達成に向けた見込みはいかがでしょうか。また、達成するためにはどのように取り組みますか、福祉部長にお伺いをいたします。

上田清司知事

 まず基本的な考え方ですが、認知症は根本的な治療法が十分確立されておりません。
 このため、認知症になっても尊厳を持って質の高い生活を送ることができるかどうか、このことが重要だと思います。

 次に埼玉県における認知症施策の強化の必要性についてですが、認知症になってもできるだけ住み慣れた地域や家族で安心して暮らし続けることができるよう、今後、認知症施策を一層強化しなければならない、このように思っております。

 国は認知症対策について実効ある施策を講ずることを目指して平成24年9月、認知症施策推進5か年計画、いわゆるオレンジプランを策定いたしました。  この中では、各市町村が地域の保健師や看護師などを、認知症の方やその家族を支援する「認知症地域支援推進員」として配置することとしております。

 また、認知症が疑われる人などに対し、早期診断、早期対応に向けて複数の専門職が初期の支援を包括的、集中的に行う「認知症初期集中支援チーム」を地域包括支援センターなどに設置することにしております。

 今回の介護保険法改正により、いずれについても平成29年度末までに全市町村への設置が明確に位置付けられています。

 このように、認知症対策については、直接住民と向き合う市町村が主体でありますことから、県は全面的に市町村をサポートするような体制をしっかりと取っていきたいと考えております。

 次に「認知症サポーター」についてですが、県と市町村は平成18年度から県民誰もが認知症について正しく理解し、認知症の方をサポートできるように養成してまいりました。

 しかし、県内において認知症サポーターが十分に養成されておりません。  御指摘もございましたので、私自身が受講することで認知症サポーターの存在がよりアピールできる、そういう役割を私自身ができるのであれば、早速日程を調整して受講し、アピールしてみたいと思います。

鈴木豊彦 福祉部長

 これまで、県では市町村や企業の皆様と協力しながら認知症サポーターの養成に努め、今年6月末までに、県内の認知症サポーターは約17万6千人に達したところでございます。

 しかし、目標達成のためには今後更に養成ペースを上げて取り組むことが必要です。
 このため、9月初めに、養成講座開催の中心となる各市町村に対して積極的に認知症サポーター養成講座を開催するよう改めて依頼したところでございます。  今後においても、各市町村の認知症サポーター養成数を確認し、少ない市町村へは職員が訪問するなど、更に働き掛けを行ってまいります。

 また、特に高齢者に接する機会の多い民生委員につきましては、本年4月及び5月に県社会福祉協議会が実施した「民生委員・児童委員課題別研修」において、認知症サポーター養成講座を組み入れたところでございます。

 さらに、日頃高齢者と接する機会の多い企業の皆様にも理解を深めてもらうため、埼玉県経営者協会に対して、認知症サポーター養成講座の受講や認知症サポート企業への登録を働き掛けております。

 今後もこうした取組を引き続き進めることで、認知症サポーター養成の目標達成に向け邁進してまいります。

認知症ポータルサイトの立ち上げを!

山川百合子

 次に、認知症ポータルサイトの立ち上げについて伺います。

 認知症を疑い始めたときにどこに相談できるのか、医療機関や介護施設にアクセスしたいときにどうすればいいのか、地域にはネットワークはあるのか、受けられる行政サービスは何かなど、どこにどのような社会資源があるのか整理された情報サイトが大変役に立つと思います。さらに、当事者や家族、地域のネットワーク化、施策の充実につながっていくようなサイト。埼玉県が中心となり、このようなポータルサイトの立ち上げを早急に行うべきと考えますが、福祉部長のお考えをお伺いします。

鈴木豊彦 福祉部長

 県では現在でも、県のホームページにおいて電話相談窓口や認知症の医療に関する情報、若年性認知症の方が利用できるサービスなどについて情報発信を行っております。
 しかし、アクセス方法が十分整理されていないため、認知症の方や御家族にとって利用しやすいものとはなっていない面がございます。

 そこで、今後速やかにリニューアルし、認知症に関する情報を分かりやすく整理してまいります。  その際には、認知症が疑われる場合のチェック項目の例示や認知症に関する基礎知識、利用できる資源、市町村事業の紹介など新たな情報も加えまして、認知症の方や御家族にとって有益かつ利用しやすい内容としてまいります。

認知症の正しい理解を推進し、偏見を取り除くための取組を!

山川百合子

 「認知症のことは、まず認知症の人に聞いてみる」、スコットランドで行政がとり行う政策の原則です。認知症の人たちによる、認知症の人たちのためのワーキンググループがあり、認知症の人の声を集約し、それを政府に届ける仕組みができています。政策づくりに認知症の人自身が欠かせないのです。私は、このスコットランドの取組を今月20日放送のNHKの特集で初めて知りました。御覧になった方もいらっしゃると思います。正に、目からうろこが落ちた感じとでもいうのでしょうか、認知症になったとしても、尊厳のある人生を送るそのありようを見せていただいた気がします。自分自身が認知症になったらと想像し、光が見出せずにいたところに希望が生まれたのです。

 認知症は、早期発見、早期治療が何よりも大切であると言いますけれど、実際のところは今の日本において、診断されても、その人が尊厳を持った人生を送るための様々なサポートを得ることにリンクしていない現状があります。県内の若年性認知症の方の推計は2,100人ですけれども、認知症の方を支援する県内の団体が把握している実数は301人という数字からも、いかに認知症であるということが社会から隠されているか、つまりはいかに適切なサポートが得られず孤立しているか、根強い偏見があるかということを表わしていると言えると思います。当事者である認知症の方を中心に据えて施策展開を行っていくスコットランドの画期的な取組、すなわち認知症に対する偏見を取り除く挑戦に、埼玉県が日本初で乗り出してみてはいかがでしょうか。知事の御見解をお伺いいたします。

上田清司知事

 認知症の方が、どんな手助けをしてほしいのか、どういう支援があればより快適に過ごせるのか、御本人の意思を尊重しなければなりません。
 そこで、県としては、埼玉県認知症施策推進会議など、認知症施策の推進について御意見を伺う場には必ず認知症の方や御家族の方が組織する家族会に参加をしていただいているところでございます。

 こうした中で、県としては、医療的に認知症の方を支えることができるかかりつけ医を増やすため、「かかりつけ医認知症対応力向上研修」を実施し、これまで727人の医師に受講していただきました。
 つまり、例えば膝だとか腰が痛いということで整形外科に通う方々もおられますので、そうした医師の方にも認知症の基本的な治療法だとか見方とかを学んでいただくという、そういう研修でございます。

 また、認知症の方や御家族が困ったことを相談できるよう、家族会に委託して電話相談窓口の設置や交流集会の開催を行っています。
 さらに、認知症の方同士、御家族同士が悩みを相談しあえる「認知症カフェ」が20か所以上設置されていますが、この拡大にももっと取り組んでいく予定でございます。

 今後とも、家族会に御協力いただいて認知症の方の声を直接お聞きし、認知症の方が安心して早期診断を受け、早い段階から必要なサービスが受けられるように取り組んでまいります。

「子どもの貧困対策~貧困の連鎖を断ち切るために~

子どもの貧困対策は「構造的暴力」からの解放

山川百合子

 続いて、子どもの貧困対策、貧困の連鎖を断ち切るためにについて伺います。

 私が政治を志した根本的な思想には、ノルウェーのヨハン・ガルトゥングという政治学者のいう「構造的暴力からの解放」というテーマがあります。平和学の第一人者であるガルトゥングは、平和の定義を二つに分けました。戦争のない状態を消極的平和であるとし、それに対して、貧困、抑圧、差別などを構造的暴力と捉え、構造的暴力がない積極的平和を提起し、平和の理解に画期的な転換をもたらしました。

 構造的暴力とは、正に人間の可能性を100パーセント開花させることを阻害する社会的な要因のことです。その構造的暴力を取り除き、一人一人が持つ可能性を最大限開花させることができる社会秩序と制度を作ることこそが、私の政治活動の初心であり原点です。

 昨年6月に制定された子どもの貧困対策の推進に関する法律は、子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのない社会を実現することを基本理念として高々と掲げています。貧困は、構造的暴力です。貧困が世代間で連鎖することなく、子どもの持つ可能性によって将来が切り開ける社会にすることは、ガルトゥングのいう積極的平和の構築につながるものであると思います。

 そこで、まず初めに、貧困と構造的暴力、積極的平和についての知事の御見解を伺います。

上田清司知事

 私は、失敗してもやり直しができる、いつでもどこでも何度でもチャンスがある社会、そういうものが良い社会だと思っております。

 ところが、親の貧困が子供に引き継がれるように貧困が固定化すると、子供自身が将来の希望を持てず、社会の活力が低下してまいります。
 生まれ育った環境によって、子供たちの教育の機会や能力の発揮の場が制限されることがあってはなりません。  私は、貧困の連鎖を断ち切るために、あらゆる政策が今求められているのではないかと思っております。

 16.3%という先進国でも下位にある日本の貧困率は、まさに危機的状況だという認識を持っております。
 例えば、国にあっては親の所得向上を目指す経済政策を、市町村にあっては基礎学力の向上や不登校対策、そして、県にあっては国と市町村のつなぎ役として福祉分野のみならず教育や雇用などを含めて総合的な対策をとらなければならないと考えています。

 こうしたことを重ねることで、子供の未来が失われないように、子供の貧困対策に取り組んでいくことが、政治の大きな責任だと考えております。

教育支援による学力保障について

山川百合子

 正に、約6人に1人の子どもが貧困の環境に置かれているという実態がクローズアップされる今、埼玉県では法律の大綱を勘案しながら、新コバトンプランの中に貧困対策の基本計画を盛り込むべく検討をしています。そこで、以下伺います。

 初めに、教育支援による学力保障についてです。

 県は、これまで取り組んできたチャレンジ事業を拡大し、市も主体となり、対象を生活困窮世帯に拡大することを計画しておられますが、義務教育における基礎学力は全て積み重ねの上に成り立ち、私は、この対象を現行の中高生から小学生にも広げるべきと考えます。福祉部長のお考えをお伺いをいたします。

 私は、そもそも義務教育の学習の定着の第一義的責任は学校と教師にあると思います。埼玉県では、三つの達成目標を掲げて基礎学力の定着を図る取組を続けていますが、一方で、教師が多忙で本来の仕事である子どもたちに関わる時間がなかなかとれないという問題が指摘されています。貧困対策のプラットホームとして位置付けられている学校が、その機能をしっかりと果たしていくようにするために、教育局として大幅な予算増が必要ではないかと考えます。その準備があるのか、教育長にお伺いいたします。

 私は、小中学校の子どもたちの学力保障の取組として、教育実習生のボランティアを実地研修の形で活用することを御提案いたします。可能な限り大学の教育課程の中に取り入れていただく、そして県の教員採用試験の際に、ボランティアの経験ではなくて現場での総合的な評価を適性を見極めるための採用ポイントに加えるなどすることは、学生にとっても、そして採用する側にとっても、その意義は大きいと思います。教育長の御見解をお伺いします。

鈴木豊彦 福祉部長

 議員御指摘のとおり、貧困が世代間で連鎖することなく、子供のもつ可能性によって将来が切り開ける社会にすることは大変重要なことと認識をいたしております。

 県では、平成22年9月から生活保護世帯の中学生を対象に高校進学のための教育支援を実施してまいりました。
 そしてその成果を踏まえ、平成27年度からは、対象が生活困窮世帯の子供たちまで拡大されることとなりました。

 この事業の目的は、中学生の高校進学と高校卒業後の就職を支援することで、将来の自立した生活を営めるようにするものでございます。
 従いまして、事業の対象を小学生に拡大することは、この事業の趣旨に必ずしも添うものではないと考えております。
 小学生の学力向上については、学校教育の中で今後も様々な取組が展開されていくものと聞いておりますので、そうした中で対応していただけるものと考えております。

関根郁夫 教育長

 まず、学校が貧困対策のプラットフォームの機能を果たすための準備についてでございます。

 小・中学校において、家庭の経済状況にかかわらず、子供たちが自分の将来を切り拓いていけるよう、学力を保障することは極めて重要でございます。
 国では、平成27年度予算の概算要求において、子供の貧困対策の推進として、学習が遅れがちな中学生を対象とする学習支援の充実や教職員定数の改善などを要求しております。
 県教育委員会といたしましては、この動向も見据えながら、必要に応じて、国の予算の確保などについて準備を進めてまいります。

 次に、県の教員採用選考試験で、現場での総合的な評価を採用ポイントに加えるなどしてはどうかについてでございます。
 議員の御提案に沿った取組として、すでに、本県では、小学校の教員を志願する学生を対象に、埼玉教員養成セミナーを実施し、学校現場での指導も経験させております。
 教員採用選考試験では、このセミナー受講生を対象に、学校現場における指導の経験を含めて、総合的に評価する特別選考を実施しており、平成26年度当初には73名を採用いたしました。
 今後、県教育委員会といたしましては、こうした取組の実施状況や特別選考で採用された教員の勤務状況を見極めながら、教員採用選考試験にどのように生かしていけるか、検討してまいります。

基本計画策定及び実施における庁内及び関係機関との綿密な連携について
~一丸となって法律の理念の実現に向けて取り組むために~

山川百合子

 法律の目的を達成するために、複合的に関わる支援者たちの綿密な連携が不可欠です。県においても基本計画策定及び実施において、各職員が自ら担当する事業に責任を持って取り組むことはもちろんですが、同時に、総合的に見て複合的な事業間の改善点はないか、ほかの事業の内容も把握しながら探り出し、作り出すことが求められています。埼玉県が一丸となって法律の理念の実現に向けて取り組むために、庁内及び関係機関との綿密な連携をどう構築していくか、知事にお伺いをいたします。

上田清司知事

 貧困から生じる子供の問題は様々であり、問題を解決するためにはいくつかの施策を組み合わせて対応する必要がございます。
 例えば、将来に備え子供の進学率を向上させるためには、学校だけではなく生活保護受給者チャレンジ支援事業のようなボランティアの学習支援なども必要です。
 これによって、平成25年度の学習支援を受けた生活保護世帯の高校進学率は97.8%となり、事業開始前の平成21年度と比較して約11ポイント向上しています。

 

 また、本県では子供が経済的理由で進学をあきらめないように、入学一時金や貸与上限額などが全国トップレベルで無利子の「日本一の奨学金制度」を平成19年に設けました。
 この奨学金の平成25年度の利用者は5,995名で平成18年度と比べて4.4倍になって、子供の自立に大きな役割を果たしています。

 一方、子供の貧困の問題は親の貧困の問題でもございます。
 親が貧困から脱出するためには、経済的支援で当面の生活を支えながら、しっかりとした仕事に就ける状況をつくりだすことが必要であります。
 そのためには、資格取得の支援や求職者の住宅、生活相談を含めたワンストップの就業支援サービスに力を入れていかなければなりません。
 さらに「通商産業政策の地方分権化」により雇用機会の創出をしっかり進めていく必要がございます。
 子供の貧困の解決には教育、生活、就労及び経済などの幅広い施策を組み合わせることによって、より効果が上がるものと考えます。

 そうした視点から計画の策定はもちろんのこと、計画策定後の実施の段階においても各部局が連絡を取るとともに、市町村、企業などと協力して計画を推進し貧困の連鎖を断ち切る動きを重ねていきたいと思います。

グローバル人材育成事業における
高校レベルの公的交換留学プログラムについて

山川百合子

 続いて、グローバル人材育成事業における高校レベルの公的交換留学プログラムについて伺います。

 埼玉県は、10億円の基金を基に平成23年度からグローバル人材育成事業に取り組み、様々な実績を上げておられます。しかしながら、気になるデータもございます。それは、高校生の交換留学についてです。平成25年度に東京都立高校から3か月以上留学した生徒数は261人であったのに対し、埼玉県立高校からは34人。データが限られているため、私立高校は23年度の数字になりますが、都内私立高校からは555人であったのに対し、埼玉県内の私立高校からは54人。東京都の学校数や生徒数は埼玉県の約2倍前後であることを考慮しても、その差は歴然としています。

 そこで、教育長に伺います。埼玉県は、グローバル人材育成事業を施策の柱として掲げておりますが、グローバル化に最も柔軟に対応できる高校生の交換留学に関するこれらの数値をどのように捉えますか。教育局が進めるグローバル化の進展に対応する力を育む教育の推進などのスローガンはどのような効果があり、今後、留学生の増加につなげるためにどのような取組が必要と考えているか、教育局の施策及び学校現場それぞれについて御見解を伺います。

 海外からの留学生の受入数については、更に少ない数字です。埼玉県の県立高校に留学する受入数は、平成25年度22人、23年度私立高校で36人です。交換留学における留学生は、本人の成長のみならず、彼らを受け入れた家庭、学校、地域社会で出会う現地の人々にも、グローバルに学ぶ大きなチャンスを与えてくれるのです。つまり、埼玉県でより多くの交換留学生を受け入れることが県内各地域のグローバル化に資するという視点が重要です。

 そこで、教育長に伺います。高校生の交換留学受入数が増えないのはなぜでしょうか。高校の現場は受入れに積極的ですか。教育局としては、公的交換留学団体などに受入れの姿勢を積極的に示していますか。国際課では、大学生、院生の埼玉への留学生受入れ拡大に向けて試行錯誤の取組を行っていますが、高校生についても同様な取組を推進すべく連携体制を組んでいますか、お伺いいたします。

 さて、外国人を日本社会に受け入れることは、日本人が世界に出ていくこと以上に日本をグローバル化させます。学問を中心とする大学レベルの留学とは異なり、生活体験を中心とする高校レベルの交換留学プログラムこそが、全国民レベルの国際相互理解を推進し、グローバルな人材を育成する最も有効な施策であり、文科省もこれを推進するために補助金制度を設け、各都道府県教育委員会を通して事業展開しています。そして、できればその期間は年間プログラムが理想的なのだそうです。新しい文化との遭遇における興奮の中で、あっという間に3か月くらいの時間は経過してしまいます。

 しかし、留学生も、ホストする家族や学校の先生方や生徒たちも、3か月が過ぎたころから異文化による摩擦を体験し、これをお互いに乗り越えていくことで初めて、留学生のみならず交換留学プログラムに関わる全ての人々がグローバル人材になれるのだそうです。これが、世界中に広がる高校レベルの公的交換留学プログラムの存在意義です。

 ところが、この分野で埼玉県は東京都と比べると実績数が極端に少ない。冒頭にお話しした気になるデータというのはそういう意味です。そこで、公的交換留学の年間プログラムについてどのような御認識をお持ちか。そして、このような公的交換留学プログラムの活用と拡充に向けてどのような取組が今後必要であると思われるか、教育長にお伺いをいたします。

関根郁夫 教育長

 まず、県立高校生の交換留学の数、教育局がすすめるグローバル化を推進する教育の効果、今後の取組についてでございます。

 県立高校生の交換留学の数については、この10年間をみますと、各年度において平均30人程度で推移しており、全国的な留学生の減少傾向と同様な状況にあると捉えております。
 このような状況の中で、県では、平成23年度からハーバード大学等へ短期派遣するなど、留学の機運を醸成するための取組を実施し、派遣生の中からは、1年間の留学にチャレンジする生徒も出てきております。
 今後も、「埼玉発世界行き」奨学金の積極的な活用を図るとともに、留学フェアなど留学体験者から直接話を聞ける機会を通じて、学校と一体となって、高校生が留学の意義を認識できるよう努めてまいります。

 次に、交換留学受入れ数が増えないのは何故か、学校現場は受入れに積極的か、教育局としては、公的交換留学団体などに受入れの姿勢を積極的に示しているか、国際課と連携体制を組んでいるかについてでございます。
 学校が留学生を受け入れるにあたっては、高校の授業についていけるだけの日本語指導が必要なことや、受入れ家庭の確保など様々な課題があり、学校現場では必ずしも積極的になれない状況もございます。
 しかしながら、留学生の受入れは、生徒が国や文化の違いについて身近に触れる機会であることから、受入れ促進に向けて、留学団体や国際課など関連機関との連携をより一層図ってまいります。

 次に、公的交換留学の年間プログラムについての認識と、その活用と拡充についてどのような取組が必要かについてでございます。
 交換留学では、受入れにおいても、学校だけでなくホームステイ先の家庭で生活をともにすることで、草の根の交流も進み、家庭や地域におけるグローバル化の進展に大きく寄与するものと認識しております。
 県といたしましては、グローバル人材の育成のための事業を積極的に推進するとともに、留学の効果や受入れの意義を学校に繰り返し周知することなどにより、公的交換留学プログラムの活用と拡充につながるよう努めてまいります。

埼玉高速鉄道株式会社の経営再構築について

山川百合子

 続いて、埼玉高速鉄道株式会社の経営再構築についてお伺いをいたします。

 埼玉高速鉄道は、平成13年3月の開業から今年で13年目を迎えました。建設時に総建設費2,587億円の約6割の1,575億円を銀行などからの有利子の借入金で賄わざるを得ず、当初から年に50億円もの返済を負担する必要がありました。他方で、開業前には一日当たり10万人でスタートすると見込んでいた輸送人員は、開業してみると47,000人にとどまり、厳しい環境の下に経営することを強いられています。

 こうした中で、埼玉県と沿線の合併前の鳩ヶ谷市を含む川口市、さいたま市では、開業直後の平成15年から経営健全化支援計画に基づき財政支援を行うことで埼玉高速鉄道を維持してきました。加えて、上田知事の下で経営改革も進められ、一日当たりの輸送人員が多い年では7,000人以上も伸びることにより、順調に発展し、償却前黒字化を達成いたしました。

 埼玉高速鉄道は、平成25年度末時点で一日当たり平均92,000人もの利用者を輸送する公共交通機関に成長し、埼玉県南部の県民生活の基盤となっています。これは埼玉高速鉄道の経営陣だけでなく、県、関係市の努力、支援の結果だと考えています。平成22年度からは、更に県、市が経営改革プランを策定し、会社としても県、市の支援に頼らない安定した経営体を平成31年までにつくり上げるという目標を掲げて取り組んできたと聞いております。

 今回、残念ながら、リーマンショックや東日本大震災等の影響により、今のままでは目標を達成することが困難な見込みになっています。このような状況の中、三セク債を活用した経営再構築に取り組むとのことですが、今回、抜本的な経営再構築に取り組まなければどういう結果になるのか。また、今回の取組では、県、市以外の債権者や出資者にどのような協力をお願いするお考えなのか、知事の御所見をお伺いをいたします。

上田清司知事

 まず、今回、抜本的な経営再構築に取り組まなければどういう結果になるかについてでございます。

 県ではご案内のように、平成21年度末に経営改革プランを策定し、埼玉高速鉄道の経営改善のための支援を続けてきました。
 しかし、リーマンショックによる経済の落ち込みが政府の見通しに反して長引き、また平成23年に発生した東日本大震災による景気への影響も受けました。
 これにより、輸送人員が伸び悩み、経営改革プランで予測した輸送人員の伸びと実績との乖離(かいり)が生じ、拡大する傾向にありました。

 このため、このまま輸送人員が伸びなければ、プランで見込んでいたほどの増収は得られず、今後経営改革プランに基づく出資・貸付を続けても、目標とする平成31年度までの経常損益黒字化は達成が極めて困難な状況ではないかというふうに考えました。
 抜本的な経営再構築に取り組まなければ、今後資金不足に陥(おちい)ることも考えられるのではないかと思っております。
 このため、経営改革プランが終了する平成32年度以降も追加出資などの支援の可能性が高くなっています。
 さらに追加支援を行っても、なお経常損益の黒字化の達成が当分の間困難でございます。

 こうした行政の支援に依存した硬直的な財務状況では、利用者ニーズに柔軟に対応してサービス向上を図ることも困難と考えました。
 県としては、経営改革プランで目標に掲げている経常損益の黒字化を早期に達成することが必要と考え、今回、抜本的な経営再構築に着手すべきと考えたところでございます。

 次に、今回の取組では県・市以外の債権者や出資者にどのような協力をお願いするかについてでございます。
 今回の経営再構築案は、債務調整を行うことによって埼玉高速鉄道の財務体質を抜本的に改善するものでございます。一言(ひとこと)で言えば、開業以来の過剰な有利子負債を軽減するものでございます。

 埼玉高速鉄道には、県・市以外にも18の債権者と48の出資者がいらっしゃいます。
 経営再構築を成功させるためには、これらの皆様の御理解と御協力を得ることが必要です。
 このため、公正中立な専門家の下で事業再生を目指すADR手続きを活用して合意の形成を図ってまいります。
 今回、債権者には、県・市が損失補償を実行することを条件とした債権放棄や、損失補償が付されていない債権について返済期間の延長をお願いし、埼玉高速鉄道の元利償還負担の軽減を図ることにしております。

 また、出資者には、保有する株式や議決権の数は維持するものの、資本金の減額をお願いし、埼玉高速鉄道の累積損失の解消を図ります。
 これにより、早期に経営自立が達成できれば、埼玉高速鉄道の株式価値の上昇につながり、将来的に出資者の皆様の利益になるものだと考えております。

 今回の経営再構築には債権者や出資者にも影響を与えるものですが、県民の生活や地元経済に欠かせない埼玉高速鉄道を守り育てていくためには必要なことと考えておりますので、御理解を賜るようにお願いをいたします。

新たに日本の名勝に指定された草加松原を、
埼玉県の一大観光スポットとして利活用する取組について

山川百合子

 続いて、新たに日本の名勝に指定された草加松原を、埼玉県の一大観光スポットとして利活用する取組について伺います。

 東京スカイツリーを埼玉県東部地域の観光の起爆剤に、私は、平成22年6月に県議会で御提案させていただきました。地元の市民、そしてこの議会の議員の皆様の支援を受けての質問でありました。スカイツリーを起点として日光街道に目を向けていただこうとする、そういう御提案でした。さいたま新都心への誘致合戦があった経緯を考えれば、大変チャレンジングな御提案でしたが、上田知事は私の提案に、「目が覚めた思い」とお答えくださり、「しっかりと受け止めていきたい」と言っていただきました。そして、そのお言葉どおり、東武鉄道の根津社長との面談も実現していただき、少しずつ御提案の趣旨に向かって前進していると、大変感謝しております。
 そして、今年3月18日には、松尾芭蕉が歩いた綾瀬川沿いを彩る松並木の風景、草加松原が日本の名勝に指定されました。県内で3か所目、56年ぶりのことです。草加松原は、日本橋を起点として北に延びる日光街道の埼玉県の玄関口であり、その玄関口が魅力ある観光資源としてのお墨付きをいただけたことは、埼玉県にとってとても大きな財産となったことは間違いないと思われます。

 この名勝指定のテーマは、「おくのほそ道の風景地」です。日本人なら誰もが知る松尾芭蕉の歩いた草加松原を埼玉県の一大観光スポットとして積極的に利活用するために、周辺を流れる伝右川(でんうがわ)や案内看板の設置等、「おくのほそ道」というテーマで統一感のある観光資源としての環境整備を進めていくこと、そして埼玉の観光資源として活用することが必要だと考えます。知事の御所見を伺います。

上田清司知事

 本年3月に「おくのほそ道の風景地 草加松原」が国の名勝に指定されたことは、川越や秩父、長瀞、行田などに並ぶ新たな観光地を生み出すチャンスに恵まれたものと考えます。

 5月には、浅草や北千住、池袋など東武鉄道の主要駅や東京スカイツリーのアリーナビジョンで、草加松原が入った観光プロモーションビデオを放映しました。
 今年度、草加市の多言語に対応した観光案内版の整備や草加松原のPR事業について、県のふるさと創造資金を活用し、その取組を支援しております。

 また、市が作成した「草加市かわまちづくり計画」に基づき、伝右川で景観に配慮した遊歩道整備も進めています。
 この整備により、草加松原を中心としたエリアの魅力を更に高めることができるのではないかと考えております。

 さらに来年3月22日には、国の名勝指定1周年を記念して、草加市や草加商工会議所とともに「第12回埼玉B級ご当地グルメ王決定戦」を開催する予定です。
 草加松原近隣の「綾瀬川左岸広場」で開催されますので、県内外の方々に草加松原を知っていただく絶好の機会になるかと思います。

 今後とも、地元草加市と一緒となって、草加松原を活用した観光振興に取り組んでまいります。

地元問題について(県土整備部長)

自転車レーンの整備を草加にも

山川百合子

 最後に、地元問題について県土整備部長にお伺いいたします。

 平成20年、私は、自転車利用のための環境整備の必要性について議会で取り上げました。地元草加でも、サイクリングロードへの期待はあるものの、より身近で切実な課題は、車道を自転車が安全に通行するための路肩の平たん化や自転車レーンの整備です。特に、市内を走る県道における自転車の安全通行への強い要望があり、是非早急な整備をお願いするものです。

 そこで、草加市内を通る県道越谷八潮線、谷塚停車場線、草加流山線における自転車レーン整備の今後の見通しについてお伺いをいたします。

柳沢一正 県土整備部長

 現在、県では自転車や歩行者の安心・安全を確保するため、「自転車すいすい55プラン」に取り組んでおります。

 草加市内では、自転車の交通量が多い県道越谷八潮線、谷塚停車場線及び草加流山線の3路線で自転車レーンの整備を進めております。

 越谷八潮線では、東武スカイツリーライン松原団地駅に至る市道との交差点から草加流山線までの約530メートルの区間で、歩道のバリアフリー工事と合わせて整備を行っております。
 このうち、北側の約260メートル区間は、平成26年度内に整備が完了する予定でございます。
 この区間の整備完了後、残る約270メートル区間につきましても、引き続き、整備を行ってまいります。

 また、谷塚停車場線及び草加流山線では、現在、設計を進めており、今後、警察など関係機関との協議を行い、地元の皆様の御理解をいただき、整備を進めてまいります。

草加に潤いのある水辺空間を

山川百合子

 最後に、草加に潤いのある水辺空間をについて伺います。

 伝右川は、さいたま市緑区東大門を源として、草加を北西から南東に流れる県管理の一級河川です。草加市内の河川沿いには獨協大学や桜の美しい札場河岸(ふだばかし)公園等があり、市民に親しまれています。県では、この伝右川沿いにウォーキングを楽しめる遊歩道の整備を平成23年度から継続的に行っています。今年度は男女土橋から東武スカイツリーラインまでの右岸側を整備していただいており、地元草加市と町会の協力で草加しだれ桜の植樹も行う予定です。地元では、せっかくの遊歩道を散歩が楽しめる潤いのある空間とするためにも、川の水質改善に対する強い要望もあります。
 そこで、伝右川の遊歩道整備について進捗状況と今後の見通し、また、景観の一体性にどう配慮していくのか、お伺いをいたします。

柳沢一正 県土整備部長

 現在、県では、伝右川の札場河岸公園から国道4号までの区間の両岸で、合わせて約4.4キロメートルの遊歩道の整備を進めております。
 進捗状況でございますが、札場河岸公園付近から上流に向け順次整備を進めており、これまでに約2キロメートルが完了しております。
 現在は、東武スカイツリーラインの上流右岸側約600メートルの整備を進めているところでございます。
 今後、さらにその上流約400メートルを整備する予定であり、これが完成いたしますと約3キロメートルの整備が完了し、今年度末の進捗率は約70パーセントとなる見込みでございます。
 整備に当たりましては、街並みに調和した明るい色調の舗装や落ち着いたデザインの転落防護柵を採用するなど、周辺景観に配慮しながら進めております。

 今後とも、地域の皆様に川に親しみを持っていただけるよう、引き続き、遊歩道の整備を進め、潤いのある水辺空間の創出に努めてまいります

上記質問・答弁は速報版です。
上記質問・答弁は、正式な会議録とは若干異なります。